自動車部品メーカーの米Visteonと米IBMは,約20億ドル規模のアウトソーシング契約を締結した。両社が米国時間2月12日に発表したもの。IBM社は今後10年間,Visteon社に広範なITサービスを世界規模で提供する。

 Visteon社は世界25カ国に,技術,製造,販売,サービスなどの施設を180カ所以上抱えている。従業員は約7万7000人。

 「IBM社と提携することで当社のITサービスを向上し,(中核事業に集中して)製品開発時間を短縮することが狙いである。アウトソーシングによって当社の要求にあったITサービスを適宜利用できるほか,IT支出の節約につながる」(Visteon社社長兼COOのMike Johnston氏)

 Visteon社は引き続き,ITアーキテクチャの管理と方向性の決定,戦略,製品開発向けITアプリケーションのプランニングなどを行う。IBM社はデータ・センターと顧客サポート・センターを提供するほか,メインフレームとデスクトップのサポート,アプリケーションの開発と保守,データ・ネットワーク管理,災害復旧などを担当する。IBM社が自動車産業に焦点を当てた最新の技術を提供することで,「市場における競争力を高めることができる」(Visteon社)としている。

 IBM社Global Services部門担当ジェネラル・マネージャのTodd Kirtley氏は,「企業は社内の情報技術を,絶えず変化する市場の動きにあわせてリアルタイムで適応させる必要がある。当社は,Visteon社が自社のサプライヤや従業員と,効率的かつ生産的に業務を行えるよう支援する」と説明した。

 Visteon社は米Ford Motorのもと子会社で2000年に分離独立したが,現在でもFord社のITシステムの一部を利用している。米メディア(InformationWeed)の報道によると,Visteon社の総売上高のうち,Ford社による収入が占める割合は78%にのぼる。Visteon社はIBM社と提携して独自のITインフラを構築することで,Ford社以外の自動車メーカーとの取引増加を目指しているという。

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