米Sun Microsystemsが米国時間2月25日に,プロセサ設計「Throughput Computing」とそのロードマップを発表した。Sun社では,「同設計ベースのプロセサを開発することで,5年後にスループットを現行『UltraSPARC』の30倍に高める」としている。

 Sun社によると,Throughput Computingはまったく新しいプロセサ設計という。「ネットワーク・コンピューティングのコストと複雑さを大幅に削減するとともに,スループットを飛躍的に高めることができる」(同社)

 同設計により開発するプロセサは,チップ・マルチスレディング(CMT)と呼ばれる技術を採用する。CMTでは単一プロセサ上に対称型マルチプロセシング(SMP)を組み込むことで,プロセサ1個で数10スレッドを同時に実行可能となる。「この仕組みは,ネットワーク・コンピューティングの価格性能比を根本的に変えてしまう」(同社)

 同社は,「スループットが向上すると,既存ソフトウエア・モデルを変更せずにアプリケーション実行の高速化とシステム設置面積の削減を達成できるので,IT予算に余裕が生まれる」と説明する。

 さらに同社は,Throughput ComputingをベースとするUltraSPARCプロセサ開発計画の概要も明らかにした。それによると,今後2年以内に,ブレードサーバーのスループットを現在の15倍にまで高めるプロセサを開発するという。2005年以降には,スループットを30倍に向上させるシステム・プロセサを出荷することを予定している。

 またSun社は同日,同社製ソフトウエア製品の販売スケジュール/形態を変更する計画「Project Orion」(コード名)についても発表した。

 Project Orionは,企業向けインフラ・ソフトウエア製品のリリースを四半期ごとに行い,単一ソフトウエア・システムとして提供する計画である。OSは「Solaris Operating Environment」とLinuxの双方に対応する。「この計画により,当社の全ソフトウエア製品と価格モデルを整理する。その結果,顧客は統合前のソフトウエア・システムやシステムのコンポーネントを導入可能となり,支出を抑え,複雑さを小さくできる」(Sun社)

 なお米メディアの報道(InfoWorld)によると,Sun社はProject Orionの利用料金を明らかにしていないが,年間利用制やユーザー数ベースの料金体系を採る可能性があるという。サービスの詳細や価格については,数カ月後に発表する見込み。

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