米インテルが「Itanium 2」の出荷を開始，動作周波数は1GHzと900MHz

2002.07.09

　米Intelが64ビット・マイクロプロセサ「Itanium」の後継版である「Itanium 2」の初回出荷を開始した。同社が米国時間7月8日に明らかにしたもの。

　「Itanium 2の優れたパフォーマンスと大規模企業クラスの機能，そして業界の多大なサポートにより，2002年はItaniumファミリがハイエンドなデータ・センター・コンピューティング向けの選り抜きのプラットフォームになるべく前進を遂げる年になるだろう」（Intel社Enterprise Platforms Group部門上級バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャのMike Fister氏）

　Itaniumファミリは企業向けハイエンド・アプリケーションや高性能アプリケーション向けに特化して設計している。ビジネス・インテリジェンス，データベース，企業リソース・プランニング，SCM，高性能コンピューティング，コンピュータ支援エンジニアリングなどの用途を想定する。

　Itanium 2は将来の2種類のItaniumファミリ製品とソケットが互換なため，容易に差し替えることが可能。なお，Intel社は5種類の将来版Itaniumファミリ製品の開発に取りかかっており，2000年代後半に設計が完了する見込みである。

　Itanium 2は大規模なトランザクション，複雑な計算，大容量のデータおよびユーザに対応する。「EPIC（Explicitly Parallel Instruction Computing）」アーキテクチャを採用し，3Mバイトの3次キャッシュを搭載したItanium 2は，「オンライン・トランザクション処理，データ解析，シミュレーションやレンダリングを高速でこなすことができる」（Intel社）。すべての主要なデータ構造で機能するエラー検出とエラー訂正，複雑なプラットフォーム・エラーを管理／修復する「Machine Check Architecture」といった機能を備える。

　Itanium 2を搭載したサーバーおよびワークステーションは，Itanium搭載システムと比べて最大2倍の性能を発揮するという。また，「米Sun MicrosystemsのUltraSPARC IIIをベースにしたシステムと比べ，トランザクション処理能力が50％上回る。しかもコストはItanium 2の方が低い」（Intel社）。

　Intel社によると，Itanium 2に対応したシステムやソフトウエアは2002年第3四半期初頭に利用可能になるという。また今後1年間に，OEM各社がItanium 2を搭載した各種サーバーやワークステーションを市場に投入する見込みである。

　大手ソフトウエア・ベンダーが開発中のItanium 2対応アプリケーションには，米BEA Systemsの「BEA Weblogic」，米i2 Technologiesの「i2 Supply Chain」「Factory Planner」，米IBMの「DB2」や「Websphere」，米Microsoftの「SQL Server 2000」，米Oracleの「Oracle9i Database」「Oracle9i Application Server 」，ドイツSAPの「SAP R/3」「APO with LiveCache」，米SAS Instituteの「SAS v9.0」などが含まれる。

　また，Microsoft社の「Windows Advanced Server, Limited Edition」「Windows XP 64-Bit Edition」，米Hewlett-Packard（HP）の「HP-UX」をはじめ，米Caldera，米MSC.Software，米Red Hat，ドイツのSuSE Linux AG，米TurboLinuxのLinuxディストリビューションなどがItanium 2をサポートしている。

　Intel社によれば，Microsoft社がItanium 2に対応した「Windows .NET Datacenter」と「同Enterprise Server」をリリースする予定だという。HP社は「OpenVMS」と「Non Stop Kernel」のItaniumプロセサ・ファミリへの移植を行っている。

　Itanium 2は3Mバイトと1.5Mバイトの3次キャッシュ搭載モデルを用意する。動作周波数は1GHzと900MHz。価格は1338ドル～4226ドル。