米Intelが米国時間12月3日に,C++およびFortranコンパイラ「Intel C++ Compiler」「Intel Fortran Compiler」の新版「Version 7.0」を発表した。それぞれWindows版とLinux版を用意する。Intel社の「Hyper-Threading(HT)Technology」に対応しており,アプリケーションを自動的に複数スレッド化できるという。

 「新版でコンパイルしたアプリケーションを『Itanium 2』『Xeon』『Pentium 4』プロセサ・ベースのシステムで動作させた場合,他社製コンパイラと比べパフォーマンスが最大40%向上する」(Intel社)

 HT Technologyは,プロセサの命令をスレッド・レベルで並列処理する技術で,一つのプロセサを論理的に二つのプロセサとして扱うことができる。Version 7.0コンパイラは,アプリケーション内にある複数スレッド化可能な処理を探し出し,自動的に並列処理化するオプションを備えている。

 OpenMP規格への対応も強化した。OpenMPは共有メモリー型並列アーキテクチャ用の並列プログラミング規格。同規格に対応することで,マルチプロセサ・システム向けアプリケーションを簡単に開発できるという。

 Version 7.0コンパイラのそのほかの特徴は以下の通り。

・コマンド・ラインのインタフェースを含め,米Hewlett-Packardの「Compaq Visual Fortran」との互換性を確保
・米Microsoftの「Visual Studio」への組み込みが可能
・Linux版C++コンパイラは,C++アプリケーション・バイナリ・インタフェースを採用し,GNU C++コンパイラとの互換性を確保

 「こうした互換性があることで,開発者は当社製コンパイラを簡単に使い始めることができる。そして,開発するアプリケーションのパフォーマンスがIntelアーキテクチャ上でどれほど向上するかを確かめられる」(Intel社)

 Intel C++ CompilerのVersion 7.0の価格は,Windows版/Linux版いずれも399ドル。Intel Fortran Compilerの価格は,Windows版が499ドル,Linux版が699ドル。いずれの製品も,同日よりダウンロードで入手可能。CD-ROM版の販売は,2002年12月末より開始する。詳細については,Intel社のWWWサイトに掲載している。

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