米Advanced Micro Devices(AMD)社が,同社の「Athlon MP」と開発中の「Opteron」プロセサに対して,データの保護とパフォーマンスの強化のためにハードウエアとソフトウエア・ベンダーがサポートを表明していることを発表した。同社が,米国時間11月18日にメリーランド州ボルティモアで開催中のトレード・ショウ「SuperComputing 2002(SC2002)」にて明らかにした。

 高性能コンピューティング(HPC:high performance computing)により,企業顧客は複数のプロセサを高速インターコネクト技術に接続して処理速度を速めることにより,強力なクラスタを作成できる。

 「AMDプロセサにより,HPCユーザーはメモリー帯域幅とパフォーマンスを増強しながら,64ビット・コンピューティング環境に展開できる。『Opteron』技術は,32ビットのハードウエアとソフトウエアに対する投資を保護するとともに,クラスタ化したコンピューティング向けに最大限のパフォーマンスを提供するように設計されている。HPC製造業者には,より幅広い選択肢を与えるとともに,現在,プロプライエタリのハイコスト・サーバーを使っている顧客にもx86の利点を提供できる」(同社のサーバー事業部門副社長のMarty Seyer氏)。

 同社のHPC技術構想に対して,現在64ビット互換性を開発している米Myricom社,米Dolphin Interconnect Solutions社,米Quadrics社などのハードウエア開発者がサポートを表明している。

 64ビット互換を持つソフトウエア・ツールは,Opteronプロセサの64ビット・クラスタのコンピューティングの開発を簡略にする。現在,独PALLAS GmbH,米Scyld Computing社などが,同社のHPC技術構想をサポートする64ビット・ツールを開発している。

 また,同日同社は並列算法を可能にするオープンソースのアプリケーション「Message Passing Interface(MPICH)」の64ビット版作成の計画を発表した。これからのハードウエアとソフトウエアは,顧客の現在の32ビット技術への投資を保護するためにAMDの開発した64ビット・アーキテクチャ「x86-64」をサポートするように設計される。そのため,必要に応じて64ビット・コンピューティング環境にシームレスに移行できるようになるという。

 「Opteron」プロセサは,サーバーとワークステーション向けに2003年前半に出荷が予定されている。

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