米Crayが米エネルギー省(DOE)のサンディア国立研究所と,大規模並列プロセッシング(MPP)スーパーコンピュータ「Red Storm」の納入契約を締結した。Cray社と同研究所が米国時間10月21日に明らかにしたもので,契約金額約9000万ドルの複数年契約という。

 この契約は,核爆発シミュレーション処理用スーパーコンピュータの開発を目的とする,DOEのAccelerated Strategic Computing Initiative(ASCI)という取り組みの一環である。Red Stormの運用開始は,2004会計年度になると見込む。

 Cray社は,「1秒当りの演算回数が2演算/クロック・サイクル時に40兆回,1演算/クロック・サイクル時に20兆回となるシステムを提供する(いずれも理論上の最高値)」としている。Red Stormは,米Advanced Micro Devices(AMD)のプロセサ「Opteron」を複数搭載し,「HyperTransport」技術ベースの3次元相互接続ネットワークを利用して接続する。

 同社のシステムの性能は,サンディア国立研究所が現在使用しているスーパーコンピュータ「ASCI Red」の少なくとも8倍になるという。なおASCI Redは,ASCIプログラムにおいて最初に開発されたスーパーコンピュータである。

 「Red Stormは,つい最近まで“不可能ではないが非現実的”とみられていた複雑な問題の,モデル化やシミュレーションを可能とする。わずか10年前に数カ月かかっていた計算が,(Red Stormにより)数分で処理できるようになるだろう」(Sandia研究所核兵器プログラム担当上級副所長のTom Hunter氏)

 Cray社会長兼CEOのJim Rottsolk氏は,「Red Stormは,高効率で広帯域幅を持つスーパーコンピュータ・システムを提供するという当社の戦略を反映するもの」と説明する。「コスト効率の高い(AMD社の)スーパースケーラ・アーキテクチャを採用し,当社の新しいベクトル型スーパーコンピュータ『Cray X1』と同じ設計思想を持っている」(同氏)

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