「2004年にはLinuxが高性能コンピューティング(HPC:high performance computing)のほとんどの分野で勢力を広げる」,などとする調査結果を米Aberdeen Groupが米国時間11月14日に発表した。

 「HPCアプリケーションのホスティングに向けたLinuxクラスタへの関心が高まっている。特定メーカーの製品だけで構築するプロプライエタリ・システムより,費用対効果が比較的高いためである。プロプライエタリ・システムに費やすのと同じ金額で,Linuxクラスタなら数倍高い性能を確保できる場合が多い」(Aberdeen Group社調査ディレクタのBill Claybrook氏)

 現在,HPC市場のハイエンド分野では,UNIXまたはUNIXクラスタが動作するシステムが優勢だ。こうしたシステムは米Compaq Computer,米Hewlett Packard,米IBM,米SGI,米Sun Microsystemsなどの大手システム・ベンダーが提供している。しかしHPC市場が創出する売上高の70%以上は,高性能ミッドレンジと技術サーバー分野が占めている。これらの分野のシステム・コストは100万ドル以下。この2分野でLinuxが急速に勢力を増すと考えられる。

 ちなみに,世界で最も性能の高いコンピュータ・システムのトップ500ライキング・リスト「Top500」では,Linuxクラスタが30位と31位に入っている。HPC市場で最大シェアを占めるシステム・ベンダーはCompaq社だが,Top500ではIBM社が優位に立っている。リストの500システム中200システムがIBM社製で,次に多いのはSun社製の81システム。

◎関連記事
米IBMがLinux戦略を明らかに,Linuxに3億ドルを追加投資へ
「金融サービスやスポーツ業界が,本格的にLinuxに移行しつつある」と米IBM
米コンパックが“Linuxづくし"の新戦略を明らかに,PDAからWS,サーバーまで
本流に向かうLinux,主力IT企業がLinuxWorldで強力支援を表明
【TechWeb特約】Linuxカーネル次期版「2.5」は企業向けサーバー機能強化
【TechWeb特約】米マイクロソフトのバルマー氏,「米IBMが10億ドルを投じようと,Linuxに覇権はありえない」

 Linuxに関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「Linux」で詳しくお読みいただけます。

[発表資料へ]