米IBMと米エネルギー省(DOE)の国立エネルギー研究スーパーコンピュータ・センター(NERSC:National Energy Research Scientific Computing Center)が米国時間3月22日に,共同のグリッド・コンピューティング計画「DOE Science Grid」について明らかにした。

 まず,IBM社の2台のスーパーコンピュータとストレージ・リポジトリで構成する。プロセサを3328個搭載したシステムと160個搭載したシステムを用いる。最終的には,1秒当たり10兆回の計算性能と,米国議会図書館が所蔵する書籍の200倍にあたるデータ量の保存を目指すとしている。DOE内に設置し,当初の計画より2年早い2002年12月から利用可能にする。

 「DOE Science Gridのスーパーコンピュータとストレージ・システムでは,地域の違いに左右されない統一した処理環境を提供する。WWWがオンライン・ドキュメントを科学分野の作業環境で利用可能にしたのと同様の手法で,処理環境と科学者の作業環境を統合できるようにする。科学コミュニティは多数のコンピューティング機能や,データ管理ツールなどを利用できるようになる」(ローレンス・バークレー国立研究所NERSC DivisionディレクタのHorst Simon氏)

 DOE Science Gridのグリッド・コンピューティングにより,各地に分散した研究機関は,アプリケーション,データ,コンピューティング・リソースを共有できる。インターネットを介して接続したクラスタ・サーバー,「Globus」オープン・ソース・コミュニティのプロトコル,Linuxといった技術を利用する。

 DOE Science Gridの目的は,DOEの科学者がコンピュータによるシミュレーション,科学実験,データ解析を通じて物質界を探求できるようにすること。全米に広がる国立研究所や大学の科学者は,より大規模なデータを計算,管理,解析する能力,より複雑なコンピュータ・モデリングを実行する能力を利用することが可能。将来はローレンス・バークレイ,アルゴンヌ,オークリッジ,パシフィック・ノースウエストといった国立研究所のスーパーコンピュータ,データ・ストレージ,実験施設からDOE Science Gridにアクセスできるようにする。

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