米IBMとシンガポールのChartered Semiconductor Manufacturingは,LSIの共同開発などを目的とした複数年契約を締結した。両社が現地時間11月26日に明らかにしたもの。300mmウエーハにおける90nmおよび65nmプロセス技術を使ったLSIを共同で開発する。なお金額など詳しい取引条件については発表していない。

 この契約によりChartered社は,ニューヨーク州イースト・フィッシュキルにあるIBM社の300mmウエーハ製造工場の一部施設を使用し,顧客に製品を供給できるようになる。一方のIBM社は,生産能力増強が必要な際に,シンガポールにあるChartered社の300mmウエーハ対応Fab 7を利用できる。

 IBM社との提携の効果について,Chartered社社長兼CEOのChia Song Hwee氏は「当社の顧客は,強化した総合的な製品ソリューションを得るとともに,300mmウエーハを使った90nm技術を早い段階で利用できるようになる」と説明する。「その上,当社にとっては,顧客のニーズに対応し,300mmウエーハの製造経験を積むと同時に,300mmウエーハ対応Fab 7での試験生産を2004年第3四半期終盤まで伸ばす柔軟性を得られる」(同氏)

 イースト・フィッシュキル工場での300mmウエーハを使った90nm技術対応LSIの生産開始は,2003年第3四半期の予定という。次世代技術を採用する製品を計画中の顧客に対して,両社は65nm技術の開発進捗状況の詳細を2003年第4四半期に知らせるとしている。「65nm技術の開発活動は,イースト・フィッシュキル工場で行う」(IBM社)

 また両社は,今後提携を拡大し45nmプロセス技術を対象に含める可能性について示唆したほか,顧客に対する支援活動を共同で進めるという計画についても明らかにした。設計ツールやオープンな標準フォーマットを提供するサード・パーティと協力し,顧客が容易に両社の製品を交換して利用できるようにする。

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