米IBMは半導体製造用マスクの欠陥を修復する技術とツールを米国時間10月3日に発表した。マスク上にあるナノ単位(1nmは10億分の1m)の欠陥を修復可能という。「LSI製造の歩どまり向上,製品化にかかる期間の短縮,製造コストの削減を目的とする技術」(IBM社)

 LSIやICなどの半導体は,回路パターンを“フォトマスク”と呼ばれる石英製の板に形成し,そのパターンをシリコン・ウエーハに転写して製造する。フォトマスクを製造する際には,パターンなどに欠陥が発生してしまうこともある。こうした欠陥は,フォトマスクを半導体製造に使用する前に必ず修復しておかなければならない。

 「当社のマスク修復ツールを使うことで,100nm以下の製造ルールでもまったく欠陥のないフォトマスクを製造できる」(IBM社)

 同社がこの技術を開発したのは2001年で,2002年1月からバーモント州バーリントンにある同社のマスク製造工場で継続的に使用している。今後同社はこの製造ツールを,世界各地のマスク・メーカーにライセンス供与する。

 同社のマスク修復ツールでは,欠陥の修復に100fs(フェムト秒,1fsは1000兆分の1s)というごく短い遠紫外線レーザー・パルスを使用する。パルスをマスク上にある金属配線の欠陥に照射することで,極めて微細な部分を修復できる。この処理は熱を発生させないため,ごみの生成やマスクの損傷を避けられるという。

 「この技術を使って実現可能な修復の精度と品質は,現在利用可能なほかの技術よりはるかに高い。修復した部分は,マスクの正常な部分とほとんど見分けられない」(同社)

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