米Texas Instruments(TI)は90ナノメータ(0.09ミクロン)のチップ製造技術を米国時間2月4日,明らかにした。この技術を利用すれば「4億個以上のトランジスタを1チップに集積できる」(TI社)という。

 90ナノメータ製造技術は,銅配線技術,低誘電率(low-K)層間絶縁技術,高密度SRAM,TI社の幅37ナノメータのトランジスタを組み合わせる。37ナノメータは「新聞印刷用紙の1/2000の薄さ」(TI社)である。

 「例えば,当技術で製造したTI社製DSPを搭載した第2.5世代(2.5G)および第3世代(3G)携帯電話機では,消費電力を増やすことなく,音声,ビデオ,データを2~3倍高速に処理できる。インターネット・インフラ装置のデータ・レートを,現在の4倍の最大10Gビット/秒に引き上げることも可能だ。また,米Sun MicrosystemsのUltraSPARCを搭載したシステムの処理性能を,数GHzに高めることができる」(TI社)

 従来の製造技術では,CMOSトランジスタ2個1組をチップの回路機能に対応させていた。今回TI社が発表した製造技術では,トランジスタの集合体を用いてチップ上の異なる複数の機能に対応させることに成功した。トランジスタのゲート長,スレショルド電圧,ゲート酸化膜の厚さ,バイアス基準などの調整を図ったという。

 なお,TI社は200mmおよび300mmウエーハでの製造に向けて0.09ミクロン製造技術の開発を進めている。2003年半ばに製造を開始する予定である。

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