米E Inkが米国時間6月6日に,「世界で最も薄い」(E Ink社)アクティブ・マトリクス・ディスプレイのデモンストレーションを行った。同社はすでに,5月19日~24日にマサチューセッツ州ボストンで開催されたシンポジウム「Information Display's Annual Symposium, Seminar, and Exhibition」で,これらのプロトタイプを発表している。

 今回デモを行った2種類のディスプレイは,携帯情報端末に向ける。厚さはわずか0.3mmで「クレジット・カードの半分以下」(E Ink社)。一つは大きさが1.6インチ(対角)で画素密度は80ppi。解像度は100×80ピクセル。スマートカードや携帯電話機での使用を想定する。もう一つは,大きさが3.0インチ(対角),画素密度は96ppi。解像度は240×160ピクセルで,PDAや双方向ページャに向ける。携帯電話機や無線装置の周辺機器として用いるハンドヘルド・モニターのような新たな装置も視野に入れる。

 従来のアクティブ・マトリクス・ディスプレイ・パネルは厚さが2mmあり,バックライトを合わせると4mm以上になる。「E Ink社のディスプレイは,ガラスを使った一般的なLCDより,約90%薄くて軽量だ」(E Ink社)

 現在市場にあるアクティブ・マトリクス・ディスプレイは2枚のガラスを使っているが,一方E Ink社のディスプレイは,薄いスチールホイルをトランジスタ基盤に使用し,E Ink社の電子インクをプラスチック・シートに塗布している。

 「モバイル機器は,情報にアクセスしやすいこと,読みやすいことが要求されると同時に,携帯性や電池寿命も大事な要素となる。E Ink社のディスプレイは,紙と同様に薄くて曲げやすく,消費電力が非常に低い」(E Ink社)

 なおE Ink社では,同社の技術を使ったディスプレイが2004年~2005年に消費者向けに製品化されると見込んでいる。

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