米E Inkが米国時間5月15日に,電子インク技術を利用したディスプレイの開発状況を明らかにした。同社は5月19日~24日にマサチューセッツ州ボストンで開催されるシンポジウム「Information Display's Annual Symposium, Seminar, and Exhibition」で,プロトタイプを展示する。

 E Ink社,オランダのRoyal Philips Electronics,凸版印刷が共同で作成した技術書も,同シンポジウム開催期間中に発表する。

 展示するプロトタイプは,商品化を想定した高解像度電子ペーパー・ディスプレイ。凸版印刷と共同開発したカラー・インク,とPhilips社のアクティブ・マトリクス技術を用いる。

 また,E Ink社の「Flexible Microelectronics」が,曲げることのできるスチール製ボードを背面に利用した超薄型高画質ディスプレイのデモンストレーションを行う予定である。

 E Ink社によれば,同社が手掛ける電子インク技術は,読みやすさ,低消費電力,薄さの3点で優れているという。反射型カラーLCDと比べ,6倍以上の明るさを確保,コントラストは新聞よりも高い。暗がりでも直射日光の当たるところでも,またどの角度からでもはっきりと読み取れるという。

 また,ディスプレイの電源を切っても画面に表示が残り,通常の使い方なら明るいバックライトが不要なので,携帯機器の電池動作時間を延ばせる。実用化されれば,一般的にスマート・ハンドヘルド機で利用されている低消費電力ディスプレイと比べて1/10以下に消費電力を抑えられる。また,ディスプレイは通常のLCDに比べて,最大50%薄型・軽量にできるという。

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