米E InkとオランダのRoyal Philips Electronicsは電子ペーパーの共同開発に関する提携の第1フェーズを完了したと米国時間3月12日に発表した。両社は引き続き提携のもとで共同開発を進め,2003年半ばに高解像度“電子ペーパー”ディスプレイの実用化を目指すとしている。電子ブック端末やPDAのほか,新たなモバイル通信端末用である。

 両社は2001年2月末にE Ink社の電子インク技術をベースにしたハンドヘルド機器向けディスプレイの共同開発に関し包括的提携を結んだ。提携の一環としてPhilips社はE Ink社に出資も行った。2001年6月には,ハンドヘルド機器向け電子ペーパー・ディスプレイのプロトタイプを公開している。

 「電子ペーパー・ディスプレイは読みやすく,薄くて軽量だ。消費電力は現在のハンドヘルド機用ディスプレイと比べて非常に低い。これらの特徴は我が社が思い描くスマート・ハンドヘルド機器向けの次世代ディスプレイにぴったり当てはまる。我が社は電子ペーパー・ディスプレイ搭載機器を出荷する最初の企業になるだろう」(Royal Philips Electronics社の米国子会社Philips Components,Mobile Display Systems事業CEOのPeter Hopper氏)

 E Ink社によれば,同社が手掛ける電子インク技術は,読みやすさ,低消費電力,薄さの3点で優れているという。反射型カラーLCDと比べ,6倍以上の明るさを確保,コントラストは新聞よりも高い。暗がりでも直射日光の当たるところでも,またどの角度からでもはっきりと読み取れるという。

 また,ディスプレイの電源を切っても画面に表示が残り,通常の使い方なら明るいバックライトが不要なので,携帯機器の電池動作時間を延ばせる。実用化されれば,一般的にスマート・ハンドヘルド機で利用されている低消費電力ディスプレイと比べて1/10以下に消費電力を抑えられる。また,ディスプレイは通常のLCDに比べて,最大50%薄型・軽量にできるという。

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