電子インク(electronic ink)技術を手がける米E Inkが米国時間9月17日に,“電子ペーパー”向けトランジスタの開発に向けた半導体製造工場を建設することを明らかにした。

 工場を建設するのは,マサチューセッツ州北部に位置するWoburnで, 面積は9500平方フィート。E Ink社のMicroelectronics Technology部門が移る予定。同工場では,電子ペーパーに向けたフレキシブル・トランジスタを開発する。

 E Ink社は,このフレキシブル・トランジスタを用いて,電子ペーパーのプロトタイプを開発する。プロトタイプは2002年に完成する予定。最大18インチのディスプレイを開発できるという。

 電子ペーパーは,紙のように薄型軽量で,折り曲げなど柔軟性に富む表示装置。E Ink社が自社の電子インク技術をベースとし,米Lucent Technologyの協力を得て開発した

 「電子ディスプレイ向けフレキシブル・トランジスタ専門の半導体工場は当社が世界で初めて。当社は研究開発に多くの資金を投入しており,2002年には飛躍的な成長を見込んでいる」(E Ink社)。

 E Ink社は電子ディスプレイ開発事業の構想として,「RadioPaper」と呼ぶ無線の電子ペーパー技術を掲げている。「RadioPaperは,完全に紙のようなディスプレイとなる。新工場の開設は,このRadioPaper構想の実現に向けた第一歩」(E Ink社)としている。

 新工場では,新しい製造方法を開発し,特定の顧客に向けた少量の生産にも対応可能という。2002年前半にもプロトタイプ(working prototype)を提携ベンダーなどに提供し,各ベンダーが新製品の開発に利用できるようにする。E Ink社の提携企業には,Lucent社,米Motorola,オランダRoyal Philips Electronics,凸版印刷がある。いずれのベンダーも,技術提携のほか,資本提携を結び,出資も行っている。

 E Ink社はマサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置く。Lucent社とMotorola社がベンチャー・キャピタル数社とともに電子ペーパーの開発を目的として1997年に設立した未公開企業。

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