米Xeroxが米国時間12月6日に,「再利用可能な電子ペーパー(electronic reusable paper)」を開発したことを明らかにした。「紙のように軽くて薄いディスプレイを 低コストで提供する」(Xerox社)。Xeroxの電子ペーパー

 紙のように軽くて薄いディスプレイ“電子ペーパー”に関しては,米E Inkと米Lucent Technologiesも11月はじめに発表している

 またXerox社は同日,デジタル文書向けディスプレイ事業を切り離し,傘下の子会社としたことも明らかにした。社名は「Gyricon Media Inc.」。

 新会社は,電子ぺーパー技術の実用化に向け開発を進める。まず第1弾として,電池動作の電子表示板や無線ソリューションなどを開発する。スーパーマーケットやデパート,量販店などの小売店に向け,買い物客の注意をひくような利用法を提供する。最初の製品は2001年にも登場する。

 「店内の商品陳列棚の表示や販促,広告看板などでの利用をはじめ,デジタル出版やポータブル機器のディスプレイなどにも利用できる」(Xerox社)。

 電子ペーパーはXerox社のXerox Palo Alto Research Center(PARC)が開発した。テキストやグラフィックスの表示や編集するだけではなく,何千回も繰り返し利用(表示)が可能という。

 「電子ペーパーはまさに“未来の紙”。印刷に関するノウハウを一変させる」(Xerox社Gyricon Media社暫定CEO,兼PARCのDocument Hardware Labマネージャー,Bob Sprague氏)。

 なおPARCに関してはXerox社は10月末に,「PARCを非同業者との共同運営を検討中」とのリストラ策を発表している。この発表では,中国の事業や富士写真フイルムと共同出資の富士ゼロックスの所有権,Xerox Engineering Systems部門などの資産売却も明らかにした。売却資産には,同社が今年スピンオフしたデジタル文書関連事業のContentGuard社も含まれている。

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[発表資料]