米QUALCOMMが米国時間6月4日に,カリフォルニア州サンディエゴで開催されたBREW 2002 Developers Conferenceで,CDMA携帯電話機向けアプリケーション開発プラットフォーム「Binary Runtime Environment for Wireless(BREW)」の新版を発表した。2回目のメジャー・リリースに当たることから,「BREW 2.0」と呼ぶ。

 「BREW 2.0では,セキュリティ機能の追加,無線インターネット・アクセス機能の拡張,マルチメディア/グラフィクス機能の強化を行った」(QUALCOMM社)

 電話機に組み込むAPI「BREW 2.0 porting kit」の初版はすでに利用可能となっている。またアプリケーション開発者が利用する開発キット「BREW 2.0 SDK」の初版の提供も始めている。QUALCOMM社のWWWサイトからダウンロードできる。

 BREW 2.0の主な特徴は以下の通り。

・mコマースに向けたセキュリティ機能の追加:
 SSLとHTTPSに対応した。これにより,オンラインのショッピング/バンキング/株取引といったmコマースを安全に処理できる。

・無線インターネット・アクセス機能の拡張:
 HTML/XHTML/cHTML対応ブラウザ用のコンポーネントを新たに用意した。また,ショート・メッセージング・システム(SMS)機能を持ち,BREW対応ハンドセット上のアプリケーションとメッセージのやり取りができる。さらに,位置情報サービスを利用するアプリケーションの機能を強化するため,「gpsOne」の拡張を行った。

・さまざまなグラフィクスとマルチメディアへの対応:
 新たに画像フォーマットJPEGとCMXに対応し,ダブル・バッファリング,スプライトの利用が可能になった。また,開発者は,新しいメディア形式に対応したビューアを拡張機能として追加できる。さらに録音機能が用意されている。こちらは電子メールへの音声添付や着信音の作成に利用できる。

・多様な機器への容易な移植:
 コンパイル時にオプションを指定することで,実装するBREWコンポーネントの取捨選択が容易に行える。これにより,無線モデム・カードや安価なハンドセットなど,メモリ量の少ない機器への移植が効率的に行えるようになった。

 なおQUALCOMM社では,2003年の早い時期にもBREW 2.0クライアント・ソフトウエアを組み込んだ携帯電話機が市場に登場すると見込んでいる。

◎関連記事
米ベライゾン,米クアルコムのプラットフォーム「BREW」対応アプリを今春発売
セガが米クアルコムの「BREW」対応携帯電話向けにゲーム・コンテンツを提供へ
世界初の商用BREWサービス,韓国で11月に開始へ
米Insigniaが米クアルコムの携帯電話環境「BREW」向けにJava仮想マシンを提供
「スマート・ハンドヘルド装置の世界出荷台数,2002年は13%以上増加」,と米IDC
「無線金融サービスの利用者数は2005年に700万人以上で現在の約14倍」,米ガートナーの調査
世界の携帯電話ユーザーの44%がmキャッシュに興味を示す---米調査会社
2006年には米国人口の17%が携帯電話でECを行う--Yankee Groupの調査

[発表資料へ]