「携帯電話のユーザーは,携帯電話で小額の支払い行う“mキャッシュ”に興味があるが,実際に使ったことがあるユーザーは少ない」。米EDSの子会社でマネジメント・コンサルティングを手がける米A.T. Kearneyと英ケンブリッジ大学のJudge Instituteは携帯電話ユーザーに対して共同で行った調査結果を米国時間3月20日,発表した。

 第4回目となる「Mobnet」に関する共同調査は,欧州,北米,アジア,オーストラリアの14カ国における約5600人の携帯ユーザーにインタビューを実施している。

 回答者の40%は,バス,タクシー,電車などの運賃,自動販売機からの購入など,小額の支払いに携帯電話でmキャッシュを使ってみたいと答えている。mキャッシュに興味を示す傾向は日本でもっとも高く50%が使ってみたいと回答しており,欧州が46%,日本以外のアジア地域が43%,米国が38%と続いている。しかし,実際に使用経験があると回答したのは,全体の2%だけだった。

 携帯電話を使ったショート・メッセージング・サービス(SMS)については,大衆市場に浸透していることが明らかになった。SMSを月に1回は利用するとした回答者は,フィンランドと英国で80%,スウェーデン,シンガポール,イタリア,ドイツで75%に近かった。14ヶ国全体では,35%が1日に1回は利用しており,地域別では,欧州で41%,アジア地域が33%,米国が5%だった。

 SMSは25歳未満の年齢層でもっとも人気があるが(50%が1日には1回利用),それ以上の年齢層グループにも急速に広まっている。1日に1回以上SMSを使うのは,25~34歳のグループが45%,35~44歳のグループが28%となっている。

 SMSの浸透に伴いSMS広告の業界も急成長している。前年調査時にはSMS広告の受信経験があるユーザーは1%に過ぎなかったが,今回の調査結果では3分の1の回答者がSMS宣伝を受け取った経験があるという。

 またインターネット対応の携帯電話は引き続き成長すると予測される。インターネット対応の携帯電話を所有しているユーザー数は,前年6月の調査結果から41%増で全体の3分の1となっている。しかし,実際に携帯電話からインターネットに接続を行っているユーザー数には変化がなく,日本を除いて大部分のユーザーが携帯電話からインターネットに接続したことがないという。

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