オーディオ向けLSIの開発の大手,米Cirrus Logicは米国時間1月10日に,家庭用無線ビデオ・ストリーミング機器のリファレンス設計「Spigot」を発表した。民生機器の展示会2002 CES(Consumer Electronics Show)で同社が明らかにしたもの。

 「消費者向けの廉価な機器の開発を促進する製造プラットフォーム。家庭の無線ネットワークで,高品質なマルチ・ビデオ・ストリーミングが実現する。家庭内の複数のテレビに異なるビデオをリアルタイムで同時配信できる」(Cirrus社)。

 Cirrus社はストリーミングとネットワーク機能を持つ次世代PVR(personal video recorder)向けソリューションを手がけており,この次世代PVRをホーム・メディア・センターと呼んでいる。Spigotは,これに同社のIEEE802.11b無線LAN技術「Whitecap2」などを取り入れたものである。

 Whitecap2ではQoS(quality of service)管理やチャネル・アジリティなど家庭向けに特化した機能を提供している。チャネル・アジリティとは電磁波が干渉してきたときに,別のチャネルに自動移行して干渉をかわす機能である。電子レンジなどからの干渉を避けることができる。

 「Spigotは,MPEG-1,MPEG-2, MPEG-4に対応し,消費者は幅広いメディアを選択できる。また赤外線コントローラや親しみやすいオンスクリーン・メニューなどが特徴である」(同社)。

 Spigotは,同社のホーム・メディア・センターのリファレンス設計「Maestro Home Media Center」とともに提供する。Cirrus社はすでに,Spigotを同梱したMaestroパッケージの提供を始めている。同パッケージの価格は2万5000ドル。ボード,ソフトウエア,模型図,材料部品一覧表などが含まれる。Ethernet対応製品の開発も行えるという。

 「PVRは,大変使い勝手がよく,家庭エンターテインメントに新たな楽しみを提供している。我々のリファレンス設計はこのPVRのメリットを拡大するもの。家庭内の誰もが,さまざまなテレビから,自分の好きな番組を選んで楽しめるようになる。(Spigotにより)次世代PVRの普及が促進されるだろう」(Cirrus社Video Recording Division副社長兼ジェネラル・マネージャのMichael Canning氏)。

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