パソコン不況の嵐が吹き荒れるなか,コンピュータ・メーカーが家庭向けエンターテインメント機器に力を入れ始めている。iPAQブランドのオーディオ製品を拡充することを明らかにした米Compaq Computerに続き,今度は米HP(Hewlett-Packard)が米国時間6月20日に,ホーム・エンターテインメント分野に進出すると発表した。HPの家電製品

 6月26~28日にニューヨークで開催されるTECH EXPOで,スタンドアロンのエンターテインメント機器「HP Digital Entertainment Center」のプロトタイプを披露する。

 HP社のデジタル・エンターテインメントへの取り組みとは,「インタラクティブ製品の技術と,使い易いサービスを組み合わせ,ユーザーがリビングルームでデジタル音楽やストリーミング・ビデオ,インターネット情報を楽しめるようにする」(同社)というもの。Digital Entertainment Centerはこの取り組みの最初の製品となる。パソコンを用いることなくインターネット上で新曲を探したり,家庭のステレオとつないで音楽を楽しめるようにする。

 製品の仕様詳細については明らかにしていないが,同社の発表資料によれば以下の機能が搭載される予定。

・書き込み可能なCDドライブを内蔵しており,音楽ファイルのCDへ書き込みが可能
・音楽ファイルをMP3プレーヤやハンドヘルド機,メモリ・カードに転送可能
・インターネット接続は,ダイアルアップ,DSL,ケーブル回線などで行い,音楽ファイルやアーティスト情報のダウンロード,ストイーミング・ビデオの視聴が可能
・最大750枚の音楽CD(約9000曲)の保存が可能。曲を管理したり自動でカタログを作成する機能を備える
・ディスプレイを装備しており,音楽ファイルのリストや製品機能を閲覧できる。リモコン操作が可能
・米RealNetworksのRealPlayerやRealJukeboxのサービスにアクセス可能
・家庭のステレオやテレビなどに接続可能

 HPは,Digital Entertainment Centerを歳末商戦(ホリデー・シーズン)に間に合うように出荷するという計画を立てている。価格は未定。

 HP社は市場調査会社の調査結果を引用している。例えば米Cahners In-Statの調査によると,デジタル・エンターテインメント製品の出荷台数は2003年までに現在の900%以上になるという。また米Webnoizeの調査では,オンライン・ラジオのリスナーは2003年までに米国人口の40%近くを占めるようになる。

 HP社ではこの市場がまずデジタル・オーディオの分野から発展するとみており,Digital Entertainment Centerを「この分野の需要に応える理想的な製品」と位置づけている。

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