米IBMが米国時間10月30日に,NASやiSCSI対応製品など,ネットワーク・ストレージ製品の拡充を明らかにした。中規模企業に向ける。「従来ハイエンド・システムのSharkのみで提供していたデータ修復ソフトウエアなどの機能をミッドレンジにも組み込んだ」(IBM社ジェネラル・マネージャのWalter Raizner氏)。
IBM社はネットワーク・ストレージ事業を強化するために,今後1億ドル以上を投資することも発表した。
「中小企業におけるデータ量は劇的に増加している。ユーザーは情報を管理,統合,共有するためにストレージのネットワーク化に目を向け始めている」(IBM社Storage Systems Group部門上級バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブのLinda Sanford氏)。
今回発表した主な内容は以下の通り。
■ミッドレンジ・データ・ストレージ・サーバーの新製品
・「TotalStorage Fibre Array Storage Technology(FAStT)700 Storage Server」:「eServer xSeries」やPCサーバー向け。Fibre Channelを用いており,データ転送速度は最大2Gbps。「Remote Copy」や「FlashCopy」といった機能を備える。容量は最大16T(テラ)バイトで,最大64台のサーバーに対応する。また,「Windows NT」「同2000」,米Novellの「NetWare」,米Redの「Red Hat Linux」をサポートする。
■ネットワーク・ストレージ装置のアップグレード
・「TotalStorage Network Attached Storage(NAS)200」と「同300」:ストレージ容量を増やし,性能を高めた。タワー型NAS 200の容量は109.2Gバイト~440.4Gバイト。ラック型NAS 200は109.2Gバイト~3.52Tバイト。NAS 300は109.2Gバイト~6.61Tバイト。
・「TotalStorage NAS 300G(Gateway)」:フォルト・トレラント機能を追加した。また,IPネットワーク上のクライアント機やサーバー機をSANに接続できるようにした。
・「TotalStorage IP Storage 200i」:容量を従来の2倍にし,速度を引き上げた。基本ストレージ容量は109.2Gバイト。73.4Gバイトのホットスワップ対応ハード・ディスク装置を6台用いることにより最大440.4Gバイトまで拡張可能。動作周波数1.13GHzのPentium IIIプロセサを搭載する。
その他IBM社は,IBM Global Services部門が担当する新たなストレージ関連サービスやTivoli Storage Manager向けサービスについても発表した。
ストレージ市場に関しては,ここのところベンダー各社の新製品,戦略発表が続いている。10月22日(米国時間)には米Compaq ComputerがミッドレンジのNASソリューション「StorageWorks NAS Executor E7000」を発表,日立製作所の米国子会社Hitachi Data Systems社もストレージ管理ソフトの枠組みとなる「HiCommand」を発表した。
米EMCも10月29日に,ストレージ管理ソフトの新戦略「AutoIS(Automated Information Storage)」を明らかにした。EMC社は10月22日に,米Dell Computerとストレージ・システムのOEM供給に関し提携関係に入ったことも発表している。
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