米Cisco Systemsが米国時間4月9日に,「Storage Networking World, Spring 2001」でネットワーク・ベースのストレージ・インフラ構築を支援する取り組み「Cisco Storage Networking」の内容を明らかにした。

 Cisco Storage NetworkingはCisco社が提唱するアーキテクチャ「AVVID (Architecture for Voice, Video and Integrated Data)」をベースにした技術や製品,パートナシップから成る。「IP,Gigabit Ethernet,Fibre Channel,光ネットワーク・インフラなどで複合的につながるリソースを接続,管理,保護できる環境の導入を支援する。最終的にはLAN,MAN,WANをカバーするネットワーク基盤の提供を目指し,SANやNASの普及を促す」(Cisco社)としている。

 まずCisco Storage NetworkingにおけるIP対応ストレージ製品として,iSCSIベースのストレージ・ルータ「Cisco SN 5420 Storage Router」を発表した。IPネットワークを介したストレージの統合,遠隔データ・バックアップ,テープ媒体への記録などを可能にする。

 iSCSIはCisco社が米IBMと共同開発した技術で,TCP/IP上でSCSIコマンドが使えるようにするもの。現在IETF(Internet Engineering Task Force )に提出中である。IBM社も米国時間2月21日に,iSCSIベースのネットワーク・ストレージ・アプライアンスなどストレージ製品を拡充したことを明らかにしている

 またCisco社はAlacritech社,米Emulex,米Intelなどと協力し,TCPに対応したiSCSI準拠のNIC(network interface cards)開発を行っている。

 Cisco Storage NetworkingではIP対応ストレージのほか,以下の分野にも焦点をあてる。

・WAN向けストレージ:「FCIP (Fibre Channel over IP) 」の標準化とFCIP対応の製品開発で米Brocadeと共同作業を進めている。

・都市型光ネットワーク向けストレージ:Cisco社の「IP+Optical」ソリューション,特に都市型高密度波長分割多重(DWDM)システムの技術を利用する。

・NAS(Network Attached Storage):IPネットワーク技術を利用した可用性と拡張性の高いストレージ環境の実現を目指し,米EMCや米Network Applianceと協力体制を敷いている。

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