米Gartnerの調査サービス部門GartnerG2が米国時間8月7日に,「オンライン・ショッピングの未経験者のあいだでは,電子商取引に対する信頼度が総じて低い。企業がこうした消費者層を引き付けるためには,プライバシ保護やセキュリティを積極的に強化する必要がある」とする調査結果を発表した。

 GartnerG2社によれば,インターネットを利用する米国の成人(18歳以上)のうち,銀行や証券会社などのオンライン・トランザクションを利用する際に,「口座番号に関するセキュリティがどの程度確保されているかなどについて,非常に不安」と回答した人が86%にのぼった。社会保障番号やクレジット・カード番号については,「非常に心配」とする人が83%。収入や資産などの個人情報について「非常に心配」とした人は70%だった。

 「セキュリティやプライバシ保護への懸念から,オンライン・ショッピングを断念したことがある」との回答も60%あった。オンライン・ショッピングをすでに利用しているネット・ユーザーのあいだでも,「個人情報を提供するものの,あまり気は進まない」という人が50%を超えた。

 米国の電子商取引ユーザー数はネット・ユーザー数の約半数にとどまっている。インターネットを利用しているが,ネットで買い物はしないという人がまだ多数いるとGartnerG2社は指摘する。消費者がオンライン・トランザクションの利用を躊躇する主な理由として,クラッカー(悪意を持つハッカー)による不正侵入行為事件が頻発していること,ユーザー自身のセキュリティに関する基本知識が十分でないことの2点を,同社は挙げている。

 「オンライン事業者はプライバシ保護条項やサード・パーティ企業への情報提供の有無などに関し,しっかりと明示すべき。セキュリティ確保の取り組みについても積極的にPRし,消費者に訴えていく必要がある」(GartnerG2社Behrens氏)。

 こうした個人情報保護への取り組みなどが,WWW事業の競争力を左右する要件となる。また,オンライン・トランザクションや認証システムなどでのセキュリティ・レベルを保証する規格などが確立しないと,オンライン・ショッピングに及び腰のネット・ユーザー層を動かすことは難しい,とGartnerG2社は指摘している。

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