(2001.5.31,Tony Kontzer= InformationWeek

 「米連邦取引委員会(FTC)が米Amazon.comのプライバシ条項問題に関し,『違反はあったが処分はなし』との決定を下したことは,今後のオンライン小売り事業に大きな打撃を与えるものとなる」。米国のプライバシ保護団体JunkbustersがFTCの対応に疑問を投げかげている。

 この問題は,Amazon.com社と傘下のインターネット・ソフトウエア・プロバイダAlexa Internet社(http://www.alexa.com/)が,FTCの定めるプライバシ保護規定「FTC Act, Section 5」に違反していた疑いで,FTCが調査を行っていたもの。

 FTCはAmazon.com社に対し,「Alexa社が顧客の個人情報をAmazon,com社に提供しているのは,Alexa社が掲げるプライバシ保護条項に違反している」との判断を下していた。ただし,Alexa社がプライバシ保護条項の内容をただちに修正していたこともあり,FTCは処分や追加調査について「必要なし」との判断を下した。

 Alexa社の修正後のプライバシ条項は,「Alexa社は以下に掲げる例外を除き,ユーザーからサービスを介して収集した個人の特定可能な情報について,ユーザーの同意を得ることなく意図的にサード・パーティやAmazon.com社に開示することはありません」となっている。

 JunkbustersのリーダーJason Catlett氏はFTCに対し,Amazon.com社にプライバシ取り扱いの詳細情報について提出させるよう求める請求を提出している。「FTCはAmazon.com社のプライバシ問題となるとなぜだかいつも甘くなる」(Catlett氏)。

 Amazon.com社は2000年8月にもプライバシ保護条項を突然改定している。これに関し,Catlett氏はElectronic Privacy Information CenterとともにFTCに調査を求めていたが,請求は拒否された。

 「どちらのケースでもFTCはなんら処分を行っていない。今回のAlexa社のケースでは,『修正したから,もうよし』などという決定である。このようなことでは消費者の電子商取引に対する信頼が大きく損なわれてしまう」(Catlett氏)。

 この問題についてCatlett氏は,次のように指摘する。「Amazon.com社とAlexa Internet社は,『我々は自らが所有する情報についてウソをつくこともありますよ』,『捕まったら,変えればいいんだ』,こうしたメッセージを発信していることになる」。

 「Amazon.com社という企業はまったく信用ならない」(Catlett氏)。

 この問題に関し,FTCはコメントできないとしている。Amazon.com社,Alexa社からもコメントは得られていない。

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[Alexa社プライバシ条項ページ]