個人情報の保護に努めているWWWサイトを「プライバシー・シール」の発行で保証する米国の非営利団体TRUSTeが米国時間6月19日に,「Privacy Symbol and Labels Initiatives」と呼ぶプライバシ保護への新たな取り組みを発表した。

 インターネット関連の政府会議「Congressional Internet Caucus」で,TRUSTe共同創設者兼会長のLori Fena氏が明らかにしたもの。

 「今日の通信ネットワーク環境は目覚ましい発展を遂げている。我々のプライバシ保護の取り組みも,新たな段階へと引き上げる必要がある。WWWサイトだけではなく,個人情報の交換が行われるすべての場所で,自分のプライバシ情報がどのように取り扱われているかについて,消費者が一目で識別可能な信用システムを構築していく」(Fena氏)。

 TRUSTe社が現在発行している“シール”は,WWWサイトがプライバシ保護の規定を遵守しており,かつサード・パーティによる監視が行われていることを保証するもの。同団体が定める基準に従って運営されていることが認められた企業や組織のWWWサイトに対し発行している。WWWサイト側は,画像データのシールをWWWに貼り込むことで,そのサイトが個人情報の保護に努めていることをユーザーに示すことができる。

 しかし,このところ消費者がプライバシ保護条項に求める要求水準は徐々に高くなっており,消費者はシールの有無だけではなく,規定内容の文言を注意深く確認するようになっているという。また,携帯情報端末(PDA)や携帯電話などでの利用では,プライバシ保護条項の文章が長すぎて画面に入りきらない場合が多い。

 そこでTRUSTeは,こうした携帯機器ではアイコン表示により識別できるようにするため,新たなシンボルを開発し,識別アイコンとして提供する計画である。

 また,米食品医薬品局が食品などのパッケージに表示を義務付けている「Nutritional Facts(栄養分情報)」のように,プライバシ保護の詳細情報について項目ごとに明記する表示ラベル「Privacy Label」を策定する。消費者にとって,「保護」の度合いや詳細がわかりやすくなる。これには情報共有や位置情報トラッキングの有無,規定遵守のチェックなどが含まれる。

 TRUSTeは,産業界,政府,関連業界団体が一体となって新しいプライバシ・シンボルやプライバシ・ラベルを策定し,プライバシ保護政策を推し進めていくよう,協力を求めている。TRUSTeによれば,これまでに米国のIT業界団体であるITAA(Information Technology Association of America)やPCIA(Personal Communications Industry Association),無線通信の広告関連団体WAA(Wireless Advertising Association)が支持を表明しているという。

 「プライバシ保護を推進することで,ネット・ユーザーは個人情報をもっと有効に活用できるというメリットがある」(TRUSTe)。

 なお,TRUSTeのスポンサーには,米America Online(AOL),米Microsoft,米Intelをはじめ,米Excite@Home,米Novell,米PricewaterhouseCoopers,米KPMG Peat Marwick,米Symantec,米Verizon Communicationsなどが名を連ねる。

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