「消費者はオンライン事業者に対し,優れた顧客サービスを求めている。こうしたことから一人一人の顧客に向けたWWWページ・サービスなどを検討する事業者が増えている」。米Cahners In-Statが米国時間4月24日に調査結果を発表した。
調査はIn-Stat社が企業の管理職約900人を対象に実施,回答を得たもの。
顧客一人ひとりに合わせたサービスとしては,すでに一部で導入が進んでいる「カスタマイズ・サービス」がある。しかし,「顧客のプライバシを侵害する恐れがある」として導入に踏み切れないという企業も多く,実際に導入している企業はまだ少数派にとどまっている。
「企業はSCM(Supply Chain Management)や協業システム,通信システムなどでインターネットの利用を拡大していくことから,中企業(従業員100人以上)および大企業で利用者一人ひとりに合わせたカスタマイズ技術の導入が広がっていく」とIn-Stat社はみる。しかし普及のスピードについては,「多くの企業は通信管理などですでにERPやMRPといったソリューションを導入していることから,急いで新たな技術に飛びつく必要性は低い」(In-Stat社eBusiness GroupアナリストのKirsten Cloninger氏)とし,導入は緩やかに進むと予測している。
その他の調査結果は以下の通り。
・大企業および中企業でオンライン・サービスのカスタマイズ化を計画する企業数は現在の22%から2002年までに倍増し,43%程度に拡大する。
・従業員1~99人の小企業では,洗練されたWWWサイトを構築しているところは少ないものの,個人事業主なども含めカスタマイズ化機能の導入・強化に関心を持っている企業が多かった。小企業で現在すでにカスタマイズ・サービス機能を提供しているのは9%。
・「カスタマイズ機能に,提供する情報量をユーザーが調節できる機能を加えれば,プライバシの侵害を避けることができる」と考える企業は,大企業の80%,中企業の約2/3に達した。
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