米Napsterとデジタル・コンテンツのインフラ・サービスを手がける米Loudeye Technologiesは,楽曲を識別する技術のライセンス供与に関して複数年契約を結んだことを,米国時間6月7日に発表した。
Loudeye社は認証コンテンツ配信のためのインフラやサービスを提供する会社である。この契約のもと,Loudeye社はNapster社に対し楽曲の記述データ(メタデータ)技術のライセンスを供与する。Napster社は同社が2001年8月より開始予定している会員向けサービスに導入する。
具体的には,Loudeye社はNapster社が提供するデジタル指紋技術を用い,個々の楽曲に対し一意のデジタル指紋を生成し,これを楽曲カタログに格納するというサービスを提供する。デジタル指紋にメタデータを盛り込むことにより楽曲識別の検証が可能になる。
「Loudeye社との提携は我々の会員制ファイル共有サービス実現のカギとなる。Loudeye社のデジタル指紋とメタデータにより,数百万という楽曲の追跡が可能になる。これにりアーティストや作曲家,音楽出版社,レコード会社に利益を還元できる」(Napster社CEOのHank Barry氏)。
このほかLoudeye社はNapster社の既存の無料サービスにおける著作権違反の防止についても支援していく。
Loudeye社は音楽などをデジタル・コンテンツに変換したり,ユーザーがインターネットで楽曲を試聴するサンプル楽曲や楽曲メタデータなどの制作を手がけている。なお同社は大手レコード会社5社や800社を超える独立系レコード会社とライセンス契約している。同社がこれまで手がけてきたサンプル楽曲数は250万以上。同社の顧客には米Amazon.com,米barnesandnoble.com,米CDNOW,米BMG Direct,米Tower Recordsといったオンライン音楽販売業者がある。
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