米Forrester Researchが米国時間9月19日に,エンターテインメント・コンテンツの管理規制について調査した結果を発表した。音楽,映画,書籍,ビデオ・ゲーム,テレビの五つのカテゴリに属するコンテンツを扱うエンターテインメント企業50社を対象に調査を実施したもの。

 それによると,著作権侵害の増加やアーティストや作家の独立によって2005年にレコード会社と出版社が被る損害額はそれぞれ31億ドルと15億ドルだという。

 「デジタル・コンテンツ保護技術も訴訟も,インターネット・コンテンツの違法入手を防ぐことはできない。米Napsterのサービスが良いか悪いかにかかわらず,レコード会社や出版社などの発売元は消費者が望むコンテンツ,フォーマット,ビジネス・モデルを使った質の高いサービスを開発するべきである」(Forrester社アナリストのEric Scheirer氏)。

 Forrester社は,ファイル共有が消費者の要求を満たし配信ベースのビジネスへと変化した時期を「規制崩壊(collapse of control)」と名づける。「規制崩壊」は音楽や出版産業を破壊するものではなく,その権力体制に大きな変化をもたらすものである。

 「販売の管理規制が大手発売元の手から離れると,それまで発売元が獲得していた大きな売り上げを代わりにアーティストやサービス・ベンダが得るようになる」(Eric Scheirer氏)。

 2005年にはミュージシャンが10億ドル,作家は13億ドル,サードパーティのサービス・ベンダは28億ドルを稼ぐとみられる。

 なおForrester社によれば,「規制崩壊」は映画やビデオ・ゲーム産業には音楽/書籍産業ほど深刻な影響を与えないという。

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