「米Napsterのサービスを利用して交換される楽曲のファイル数が激減している」。デジタル・エンターテインメントの市場調査を手がける米Webnoizeが米国時間6月5日に,Napsterサービスの利用実態について調査・分析した結果を明らかにした。

 2001年5月における楽曲のダウンロード数は3億6000万件だった。これはピークだった2001年2月の27億9000万件に比べて87%減である。理由はNapster社が連邦地裁の仮処分命令に応じて,著作権侵害にあたるファイルの遮蔽措置をとったことにある。

 Napster社のサービスにアクセスするユーザー数は,ダウンロード数ほどには減っていない。5月における平均の同時ユーザ数は84万4000人。ピークだった2月の157万人に比べ46%減にとどまっている。

 ダウンロード数は激減したという事実があるものの,Webnoize社は「Napsterは人気を保っている」と分析しており,Napsterは「今後儲かる商業サービスへとつながる可能性がある」(Webnoize社)のだという。

 この3カ月でNapsterソフトの使い方にも変化が起きているという。「ユーザーはファイルの共有ではなく,自分のパソコンに保存してある音楽ファイルを整理したり,再生したりするといった目的でNapsterを使っている」(同社上級アナリストのMatt Baile氏)。

 なおNapster社は2001年夏末にも有償の商業サービスを立ち上げる計画を立てているが,Webnoize社はこれに関連したアンケート調査を行っている。

 それによると,米国の大学生の半数が10ドル以上の月額料金を支払ってもかまわないと回答した。これはNapster社にとって,大学生の市場規模が4億ドル(年間売り上げ)を超えることを意味しているという。

 なお「一切支払いたくない」とした回答は23%,「20ドル以上でもかまわない」という回答は4%あった。これについて同社アナリストのRic Dube氏は,「Napster社はさまざまな料金プランを用意する計画を立てているので(問題ない),さい先のよいアンケート結果だ」とコメントしている。

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