「現在パソコン業界を揺るがしている景気の低迷にもかかわらず,米Intelは次世代マイクロプロセサ(MPU)製造技術への設備投資を続けている」。米Cahners In-Stat/MDRが米国時間4月17日に分析結果を発表した。

 景気減速はIntel社にも影響を与えている。In-Stat/MDR社によれば,Intel社は三つの300mmウエーハ製造工場の一つ(Fab 24)の建設を,2002年後半から2003年第3四半期に延期した。しかし設備投資予算は2000年の67億ドルから,2001年には75億ドルに増加する。

 「パソコン業界の不況が続けば,Intel社は設備投資と研究開発費を削減せざるを得ないかもしれない。そうなればPentium 4プロセサを主流に据えるために不可欠な0.13μmルール製造技術を使った早期量産は難しくなる可能性がある」とIn-Stat/MDR社は指摘する。

 「Fab 24の操業延期により0.13μmの生産能力が低下し,1999年の年末から2000年初頭にかけてみられたような供給不足が起きる可能性がある。当時Intel社は,『Pentium III』に対する需要の急速な伸びに対応できるだけの十分な生産能力を持たなかった」 (In-Stat/MDR社Intel PC Processor Service上席アナリストのKevin Krewell氏)。

 このほかの主な調査結果は以下の通り。

・Intel社の次期製造技術への移行は2001年第2四半期の終わり頃になる。同時に200mmウエーハに銅配線技術と0.13μm製造技術を用いた製品の出荷を始める。300mmウエーハを使った製造は2002年初期とみる。

・Willamette(開発コード名)ベースのPentium 4への移行の伴い,Intel社の平均チップ・コストが2001年に上昇し,2002年第1四半期にピークを迎える。より小型の0.13μmのPentium 4(開発コード名:Northwood)に移行することで2002年末にコストが低下しはじめ,平均46ドルまで下がる。

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