ストレージの業界団体であるStorage Networking Industry Association(SNIA)が米国時間4月11日に,iSCSI(Internet Small Computer Systems Interface)技術の普及促進を図るためのグループ「iSCSI Group」を設置したことを明らかにした。

 SNIA IP Storage Forum内に置く。SAN(storage area networks)などでのIP通信に向けた標準技術として,ソフトウエアおよびハードウエア企業に幅広く採用を促していく。

 参加企業は,米Intel,米IBM,米Cisco Systems,米Sun Microsystems,米Hewlett-Packard,日立の米子会社Hitachi Data Systemsなど31社。Intel社のAhmad Zamer氏が会長として統括する。その他の参加企業は以下の通り。

 Adaptec,Agilent Technologies,Aristos Logic,BROCADE Communications Systems,Cereva Networks,CNT Corporation,Emulex Corporation,Eurologic Systems,FalconStor Software,Legato Systems,LSI Logic,Lucent Technologies,NetConvergence,Nishan Systems,Pirus Networks,Platys,QLogic,Rhapsody Networks,SAN Valley Systems,SANcastle,San-Stor,Spectra Logic,StoneFly Networks,StoreAge Networking,Troika Networks。

 「主な目的は,まず市場全体にiSCSIの利点を訴えていくこと,そしてベンダー間での協業を促進し,IPベースのストレージ製品の相互運用性を高めること」(SNIA)。

 iSCSIはCisco社とIBM社が共同開発した技術で,TCP/IP上でSCSIコマンドが使えるようにするプロトコル規格。現在IETF(Internet Engineering Task Force)に提出中である。既存のEthernetネットワークを利用してストレージへのデータ伝送が可能になることから,高価な専用装置が不要になり,企業などが容易にストレージ・システムを構築できるようになる。

 またiSCSIに準拠したストレージ機器はEthernetネットワークのあらゆる場所に追加でき,このための作業が従来よりも容易になり,コストも下がる。 ネットワーク管理者が,ストレージを含めたネットワーク全体を既存のユーティリティを使って管理できるといったメリットもある。

 4月9日からカリフォルニア州Palm Desertでストレージ・ネットワークのカンファレンス「Storage Networking World, Spring 2001」が開催されており,主要企業がiSCSI対応のストレージ技術を相次いで発表している。Intel社は4月10日(米国時間),iSCSI準拠のネットワーク製品開発に向けたソフトウエア(リファレンス・インプリメンテーション)を,オープンソースとしてコミニュティに公開した。Cisco社は4月9日に,ネットワーク・ベースのストレージ・インフラ構築を支援する取り組み「Cisco Storage Networking」の内容を明らかにしている。

 なおIBM社は2月21日に,iSCSIベースのネットワーク・ストレージ・アプライアンスなどストレージ製品を拡充したことを発表している。

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