米IntelがiSCSI(Internet Small Computer Systems Interface)に準拠したネットワーク製品を開発するためのソフトウエア(リファレンス・インプリメンテーション)をオープンソース・コミニュティに公開した。カリフォルニア州で開催中のStorage Networking World Conference and Expoで米国時間4月9日に明らかにしたもの。

 ソフトウエア・リファレンス・インプリメンテーションはIntel Labsが開発したもの。これを利用することにより,iSCSIに準拠したスイッチやルータ,アダプタなどの開発が容易になるという。米VA Linux Systemsのオープン・ソース開発センタ「SourceForge」のWWWサイト(http://sourceforge.net/projects/intel-iscsi/)で無償提供している。

 iSCSIはインターネット技術の標準化団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が現在策定中のプロトコル規格。TCP/IP上でSCSIコマンドが使えるようになる。既存のEthernetネットワークを利用してストレージ・データの伝送が可能になることから,高価な専用デバイスが不要になり,企業などが容易にストレージ・システムを構築できるようになる。

 iSCSIに準拠したストレージ機器はEthernetネットワークのあらゆる場所に追加でき,このための作業が従来よりも容易になり,コストも下がる。ネットワーク管理者が,ストレージを含めたネットワーク全体を既存のユーティリティを使って管理できるといったメリットもある。

 このほかIntel社は,Storage Networking Industry Association (SNIA) のIP Storage Forum内に設置された「iSCSI Group」の議長役を務めることを明らかにした。iSCSI GroupでiSCSI規格の普及促進を図っていく。

 なおIntel社は会場で米Ciprico,米Mountain View Data,米NetConvergenceとともにiSCSIを使ったSAN(storage area network)の初めての公開デモを行った。Ethernet上で大容量のデータ・ブロックを送信してみせるなどiSCSI開発の進捗状況を報告した。

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