富士通が3月27日に,ストレージ管理ソフトの開発および販売を行う新会社を米カリフォルニア州に立ち上げたことを明らかにした。社名は「Fujitsu Software Technology Corporation(Fujitsu Softek)」。

 「海外事業では,高い利益の見込める分野に注力しており,ストレージ管理はこうした条件を満たす市場だと判断した」(富士通)。

 新会社の設立は,富士通の北米におけるITインフラおよびサービス事業再編の一環となるもの。富士通と傘下のAmdahl社の知的財産権や経営資源を利用する。Amdahl社のソフトウエア製品「Softek TDMF」「Softek DR Manager」などを引き継ぐ。富士通によれば,「Softek TDMF」の売上高は1億ドル強を見込む。

 「北米および欧州市場は,世界のストレージ管理ソフト市場の85%を占める。富士通の研究開発力を利用し,この両市場でシェア,売上高を積極的に拡大していきたい」(富士通常務理事で,Amdahl社社長兼CEOの田尻 康氏)。

 Fujitsu Softek社はAmdahl社が拠点を置くカリフォルニア州サニーバレーに本社を設置する。ダラス,アトランタ(ジョージア州),ワシントンD.C.,カナダのトロント,モントリオールの5都市に拠点を構える。また欧州本社をロンドンに設置し,アイルランド,フランス,イタリア,ドイツの各地に拠点を置く。当初従業員285人でスタートする。Amdahl社の社長Steven F.X. Murphy氏がCEOに就任した。2001年度の売上高は9000万ドルを見込む。

 Fujitsu Softek社は,Storage Data Management部門,Storage Infrastructure部門,Storage resource Management部門,Quality-of-Service Monitoring部門,Professional Consulting部門の5事業部門体制とする。仮想ストレージの新製品「Powered by DataCore」や監視ツール「Softek En View」などを提供する。

 なお富士通は,2000年11月にもUNIXサーバーやIAサーバー,ストレージ製品を提供するFujitsu Technology Solutionsをカリフォルニア州に開設している。

 米Dataquestが発表した予測によれば,「世界のストレージ管理ソフト市場は年平均成長率28.5%で拡大し,2004年に147億ドル規模に達する」という。また,米Forrester Researchは,「企業はオンライン・ストレージの容量を今後5年間で10倍に拡大する。情報システムの予算に占めるストレージ関連予算の割合は現在の5%程度から2003年には17%に増大する」と報告している。

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