Webページのデータなどを蓄積するディスク,いわゆるストレージを提供するSSP(ストレージ・サービス・プロバイダ)が登場し始めている。サービスの拡大などでデータが増えた際に,柔軟に容量を追加できる。バックアップなどの運用管理も代行してくれる。コンテンツの大容量化が進み,データの重要度が高まるなか,SSPサービスはデータセンターなどで不可欠なメニューとなっていく。
ストレージ・オンデマンドの時代に入る。ディスク容量が不足してきたら,柔軟にディスク容量を追加できる。容量に応じて課金されるため,無駄なコストを削減できる。こういったサービスを提供するSSP(ストレージ・サービス・プロバイダ)が相次いで登場している。SAN (ストレージ・エリア・ネットワーク)やNAS (ネットワーク・アタッチト・ストレージ)といった信頼性が高く,高速アクセスが可能なストレージを比較的安価で利用できる点も魅力である。
野村総合研究所とNRIデータサービスが2000年10月に開始したのを皮切りに,日立ネットビジネスが,アイアイジェイ テクノロジーが続いている。米国では,99年春ころから,ストレージ・ネットワークなど,いくつものSSPがサービスを提供している。
ネットワークの高速化に伴い,コンテンツの容量は大きくなる。また,サーバーの台数が増えるとともにディスクの数が増加し,故障対応など,管理の手間が大きくなる。こういった課題に対応するのがSSPサービスである。
容量管理からバックアップまで
図1●ストレージ・サービス・プロバイダが提供するサービス 的確に運用管理した信頼性の高いディスク領域を提供し,その容量を柔軟に拡張できる。また,バックアップ・サービスも提供しており,災害時を想定したリモート・バックアップも可能である。 |
データ量に応じて柔軟にディスク容量を追加できるサービスが基本メニュー。さらに2重3重のミラー構成を採り,信頼性を高められる。一般にディスク装置に高い信頼性を求めると,1T(テラ)バイト当たり5000万~1億円と高価。大企業や大規模なサイトを運営する企業は別として,一般の企業ではとても手の届く価格ではない。SSPは,50Gバイトや100Gバイトといった単位でストレージを切り売りする。
料金は,たとえばNRIの場合,ミラー構成で月額60万円から。容量が不足してきたら,1カ月ごとにディスクを追加できる。とくに「新規サービスなど,必要になるディスク容量が見えないとき,最小限の容量でサービスを開始できる」(NRIデータサービス アウトソーシング事業本部事業開発室上級システムエンジニア 小泉 充氏)。
重要なデータを保存するディスクの運用管理は容易ではない。障害が発生していないか,容量は十分であるかを管理する必要がある。バックアップにしても,テープを入れ替えたり,きちんとバックアップが取れているかのチェックしたりするなど,負担が大きい作業である。SSPは,これら障害管理やバックアップといった日常の運用管理を代行する。NRIやアイアイジェイ テクノロジーなどは,遠隔地のデータセンターにあるストレージにバックアップする,いわゆるディザスタ(災害)リカバリも提供する。災害時にデータセンター自体に問題が発生しても,データだけは守れる。
図2●ストレージとしてSANとNASの2種類を用意 SANは高速アクセス可能で,NASは比較的安価という特徴がある。 |
SSPサービスを利用することで「アクセシビリティが向上する」(アイアイジェイ テクノロジー 営業・企画統括本部営業企画室室長 長尾 哲哉氏)ことも見逃せない。ディスク・アクセス用に,ファイバ・チャネル やNFS (ネットワーク・ファイル・システム),CIFS (共通インタフェース・ファイル・システム)といった汎用インタフェースを提供する。さまざまな環境のマシンから,集約されたストレージにアクセスできる。
レンタルというアプローチも
SSPと違ったアプローチで,高信頼のストレージを安く提供するのがビジネスポートシステムズである。ファイバ・チャネルで接続する高信頼のディスク装置を,レンタルで提供する。1Tバイト当たり月額58万円でレンタルする(買い取りの場合1Tバイト1000万円強)。初期導入コストなどを大幅に抑えられる。運用管理などはユーザー自身の役割になるものの,「高速で壊れない大容量のディスクを安価に導入したいユーザー向けのソリューション」(ビジネスポートシステムズ IDC & SANソリューション事業部ブロードバンド営業部長 有田 聡氏)である。