米Vistoは,企業データ向けモバイル・アクセス技術に関する特許3件が米Microsoftに侵害されたとして,テキサス州東地区米連邦地方裁判所に提訴した。Visto社が米国時間12月15日に明らかにしたもの。違反行為の差し止めと損害賠償を求めている。ただし,具体的な賠償金額は公表していない。
Visto社は,企業グループウエアへのリモート・アクセス用ソフトウエア/サービスなどを手がける。携帯電話機やPDAなどのモバイル機器を使い,外出先で電子メールや各種データを扱えるシステムを提供している(関連記事その1,その2,その3)。
本社はカリフォルニア州レッドウッドショアーズで,10カ国に事業所を持つ。従業員数は合計300人以上。モバイル・データ・アクセスに関する特許を25件所有しており,申請中の特許も57件あるという。
問題の特許について,Visto社は「Microsoft社がモバイル機器向けOS『Windows Mobile 5.0』で不正使用した」と主張する。侵害されたとする3件の特許は以下の通り。
・米国特許番号は6,085,192。タイトルは「System And Method For Securely Synchronizing Multiple Copies Of A Workspace Element In A Network」。1997年4月11日に申請し,2000年7月4日に成立した。25件のクレームから成る
・米国特許番号は6,708,221。タイトルは「System And Method For Globally And Securely Accessing Unified Information In A Computer Network」。2000年9月20日に申請し,2004年3月16日に成立した。14件のクレームから成る
・米国特許番号は6,151,606。タイトルは「System And Method For Using A Workspace Data Manager To Access, Manipulate And Synchronize Network Data」。1998年1月16日に申請し,2000年11月21日に成立した。21件のクレームから成る
なお,Visto社は2004年2月,Microsoft社とモバイル電子メール/PIMソリューション「Visto Mobile Personal Edition」をモバイル通信事業者に共同プロモーション/マーケティングする優先パートナ契約を結んでいたと米メディア(internetnews.com)が報じている。この契約について,Visto社会長兼CEO兼社長のBrian Bogosian氏は「自分の知る限り,契約はまだ有効」と話したという。
さらに,同メディアは,Visto社が提訴の前日に,米NTPからモバイル・データ・アクセス技術について特許ライセンス供与を受けたとも報じている。現在NTP社は,カナダResearch In Motion(RIM)とのあいだで同様の技術に関する特許侵害訴訟を係争中(関連記事その1,その2,その3)。
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