調査内容 2007年第3四半期のIT予算の前年同期比増減(業種別,企業規模別)
調査時期 2007年9月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2073件(933件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2007年9月調査で,2007年7月~9月四半期のIT予算の前年同期比を,製造,流通,サービスの業種別と,回答者の企業規模(下記注釈参照)に比較したところ,業種別では製造業とサービス業が前年同期比でプラスだったのに対し,流通業(回答数33)はマイナス11%の大幅な減少。企業規模別ではシステムの利用者数が「300人以上1000人未満」の中規模ユーザーと「1000人以上」の大規模ユーザーが前年同期比約5%のプラスだったのに対して,「300人未満」の小規模ユーザー(回答数214)は前年同期比約5%のマイナスという結果になった。

 今回の調査では,四半期予算の前年同期比の全回答平均がマイナス1%に転落したが,この設問への回答数の約62%を占める小規模ユーザーで「予算減」の回答の比率が大きかったことが,調査開始以来初めての前年同期比マイナス予算という結果の主な要因だったことになる。

製造業は前回調査より6ポイント,サービス業は14ポイントも低下

 小規模ユーザー以外の業種,企業規模のセグメントも,今回の7月~9月四半期調査では大幅な成長率の低下を示した。製造業は前回2007年6月調査(2007年4月~6月期)の11.8%増から6ポイント,サービス業は15.4%増から14ポイントも低下。2006年9月調査(2006年7月~9月期)の製造業14.5%増とサービス業23.4%増,2006年12月調査(2006年10月~12月期)(同24.9%増と6.7%増),前々回2007年3月調査(2007年1月~3月期)(同14.9%増と5.5%増)のレベルと比べても大きく落ち込んだ。

 製造業,サービス業とも前回調査では「前年同期比で予算増」とした回答者の比率が約30%を占めており,それ以前の3回も「前年同期比で予算増」が25%~40%程度だった。それが今回は製造業では約15%,サービス業も約20%しかない。ともに過去4回と比べて最低の値である。

 流通業は,2006年12月調査以外の過去3回の調査が回答数30未満で参考値扱いだが,2006年12月調査(マイナス4.6%)から今回まで4回連続して,四半期予算の平均増減率が前年同期比マイナスとなった。

大・中規模ユーザーも「前年同期比で予算増」の回答者の比率が低下

 大規模ユーザーの四半期のIT予算の前年同期比は2006年9月調査の11.3%増の後,2006年12月調査で6.3%減に転落。前々回2007年3月調査は1.3%増,前回2007年6月調査では平均12.3%増に回復してきた。今回は4.7%増に逆戻り。前回調査で回答の17.7%を占めていた「110%超120%以内(2割以内の増加)」が,今回は7.8%に落ち込んだのが目立つ。

 中規模ユーザーの場合,前年同期比の平均増減率は2006年9月調査から順に8.8%増,4.2%増,28.3%増(回答数不足で参考値),前回2007年6月調査は8.4%増と,回答数不足の2007年3月調査以外は比較的変動が少ない。今回も平均増減率は前年同期比5.3%増で,平均値の上では安定している。しかし,前回2007年6月調査で「前年同期比で予算増」とした回答者の比率が31.1%だったのに対して,今回は21.5%に低下。逆に「前年同期比で予算減」が8.8%から17.8%へと拡大している。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 「企業(利用者)規模」は,「回答者が担当・関与する情報システムを利用している就業者数(従業員,パート/アルバイト,派遣就業者を含む)」について聞いたものである。
 調査実施時期は2007年9月中旬~下旬,調査全体の有効回答は2073件,うち情報システム担当者の有効回答は933件。

図●最新四半期(2007年7月~9月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)

図●最新四半期(2007年7月~9月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲の総額,企業規模別)