写真●東京ゲームショウ2011開幕式直前の様子
写真●東京ゲームショウ2011開幕式直前の様子
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 2011年9月15日から18日まで開催され、総入場者数が史上最多の22万6687人に達した「東京ゲームショウ2011」(TGS 2011)。これほどの“大入り”になった背景を端的に言えば、ゲームの世界が転換期を迎え、ゲームビジネスの新しいプレーヤーやファン層を呼び込んだ、ということになるだろう。具体的には「ソーシャルゲーム勢の勢力拡大」と「ゲーム専用機のソーシャル対応」が進んでいるのだ。

 これまでのTGSでは最新のゲーム専用機と、各ゲーム機に向けた新作のパッケージ型ゲームが来場者の関心の的だった。それが今回は、ソーシャルゲーム関連の展示や講演が格段に増え、人気を集めるようになった。会場ではグリーがソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)に匹敵する大規模なブースを構え、同社の田中良和社長が初日の基調講演に登壇。ディー・エヌ・エーやミクシィ、NHN Japanなどソーシャルゲームを手がける企業のキーパーソン達もそれぞれ講演やセッションに登場し、いずれも立ち見が出るほど盛況だった。

 これらの企業はソーシャルゲームの配信プラットフォームを運営しているが、実は業務システムの分野にも通じるような課題に直面し、それに対処するためのノウハウを急速に蓄積しつつある。例えば大量のユーザーアクセスをさばくためのクラウド技術の活用、AndroidやiPhoneなどスマートフォンへの最適化、開発のスピード向上や運用の効率化、ゲーム内アイテム課金などマイクロペイメントの実践、といったことだ。

 さらにはユーザーのゲーム内行動など膨大なデータをリアルタイムに収集・分析し、新機能を追加したりゲームバランスを調整したりしている。つまり“ビッグデータ”利活用の最前線にいるわけだ。

 もちろん従来のゲーム専用機陣営も、指をくわえて見ているわけではない。TGS2011の主役は依然としてゲーム専用機であり、中でもSCEの次世代携帯ゲーム機「PlayStation Vita」は4日間を通じて大人気だった。同製品は無線LANと3Gデータ通信への対応、ネットワーク対戦・連携プレイなどコミュニケーション基盤の拡充、TwitterやFacebookとの連携強化といった、ソーシャル的な要素を多く盛り込んである。

 開発者視点では「PlayStation Vita向けに開発したゲームをAndroidスマートフォンやタブレット端末でも動かせるようにする」という、SCEのクロスプラットフォーム戦略も見逃せない。この戦略には、携帯ゲーム機能を備えたソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン新機種「Xperia PLAY」も組み込まれている。

 このようにTGS2011の会場はゲーム業界の状況が分かるというだけでなく、「ソーシャル」「クラウド」「スマートフォン」といった最新のITプラットフォームのショーケースにもなっていた。以下の関連記事を通じ、TGS2011をぜひ追体験してほしい。

東京ゲームショウ2011

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