台湾のVIA Technologiesが,x86アーキテクチャ対応の低消費電力プロセサ製品系列「VIA C7」を現地時間5月27日に発表した。「Esther」コアを採用しており,「世界で最も小さく,消費電力が少なく,最高のセキュリティ機能を備えたx86プロセサ」(VIA社)という。2005年第2四半期末に量産を開始する。

 C7について,同社は「低い消費電力,少ない発熱,高性能,高セキュリティといった特徴から,小型/薄型ノート・パソコン,小型デスクトップ・パソコン,省電力端末,家電製品,高密度サーバーなどに最適」と説明する。

 同社の100%子会社である米Centaur Technologyが設計し,米IBMがニューヨーク州イーストフィッシュキルの工場で製造している。90nmプロセス・ルールやシリコン/絶縁膜構造(SOI)などの技術を採用。ダイ・サイズは30平方mm。アイドル時の消費電力は100mW。動作周波数2.0GHz時の消費電力は最大でも20Wと低く,「競合プロセサに比べ平均40%発熱が少ない」(VIA社)。

 主要な暗号化演算をハードウエア処理する「VIA PadLock Hardware Security Suite」技術を採用した。これにより,同社の既存プロセサで対応していた乱数生成とAES暗号に加え,ハッシュ値の計算(SHA-1およびSHA-256)やRSAなどの公開鍵暗号をハードウエア・レベルで扱えるようになった。さらに,Windows XP Service Pack 2(SP2)のウイルス/ワーム対策技術Execution Protectionにも対応している。

 「セキュリティ機能をプロセサのハードウエアに直接組み込んだことで,ソフトウエアで処理する場合に比べて速度と効率が何倍も高くなる。同時に,プロセサの処理性能に与える影響も無視できる程度で済む」(同社)

 当初,動作周波数が最大2.0GHzの製品を用意する。システム・バス(FSB)のクロック周波数は最大800MHz。マルチメディア命令SSE2/SSE3に対応し,128Kバイトのレベル1/レベル2・キャッシュを備える。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,C7により800ドルを切る小型/薄型ノート・パソコンが実現可能になるという。

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