「2006年に,デスクトップ・パソコンを主な情報デバイスとして使用する企業ユーザーはわずか45%に過ぎないだろう。また,ノート・パソコンやタブレットPCを利用するユーザーは40%,シン・クライアント,あるいはカスタム・デバイスやハンドヘルド・デバイスを利用するユーザーは15%になる見通しだ」。米META Groupが米国時間1月12日に,企業ユーザーが利用する情報デバイスについて調査した結果を発表した。

 複数のデバイスを利用するユーザー数が,パソコンあるいは情報/通信デバイス(ハンドヘルドや携帯電話など)だけを利用するユーザー数を上回るという。

 META Group社Technology Research Services部門担当副社長のSteve Kleynhans氏は,「平均的なユーザーは2007年までに,職場のパソコン,家庭のパソコン,モバイル情報デバイス,デジタル・エンタテインメント・システムと,少なくとも4種類のコンピューティング機器を利用するのが当たり前になる」と説明した。「このためソフトウエア・ベンダーは,異なるデバイス間における情報の同期機能と,どこからでもアクセス可能なローミング機能を提供することが重要になる」(同氏)

 現在の、キーボードが付属しないタブレットPCは,企業ユーザーが唯一のコンピューティング機器として利用するには機能が不十分である。しかし,形状の改善,デジタイザの低価格化,デジタル・インクとペン入力アプリケーションの普及が進んでおり,2006年には企業で使用するノート・パソコンの3分の1がタブレット型になる見通しだ。また,Windows XPのリモート・デスクトップ機能を使って,デスクトップ・パソコンにアクセスできるスマート・ディスプレイも,企業で採用が進む可能性があるという。

 Kleynhans氏は、「企業のナレッジ・ワーカーの60%は,ミーティングのために部屋から部屋へと移動する必要がある。タブレットPCやスマート・ディスプレイは,これらのユーザーに電子メール,インスタント・メッセージング,WWW閲覧,メモ入力といった基本的な機能を提供できるため,市場機会をつかむチャンスがある」と説明した。

 ブレード・コンピュータは当初は,複数の低価格なパソコンを一つの筐体に格納し,コンパクトで拡張可能なサーバーを構築するために考案された。ところが最近は,シン・クライアントを使ってブレード・サーバーにアクセスするユーザーに個別のブレード・コンピュータを割り当てるシステムを開発するなど,エンド・ユーザー層による利用拡大を目指すパソコン・メーカーが増えている。しかし,ローミングが可能な環境を構築できなければ,導入管理コストの削減といったブレード・コンピュータの利点に目を向ける企業は限定される見通しだ。

 Kleynhans氏は,「ブレード・コンピュータは,CitrixやWindows Terminal Server(WTS)と似たような役割を果たすだろう。つまり,Linuxなど特定のOSを必要とするアプリケーションを動作させたり,処理能力の確保が必要な場合など,従来のプラットフォームを補完する際に利用される。2006年に,従来のパソコンからブレード・コンピュータに乗り換える企業ユーザーは10%にとどまる」(同氏)

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