米In-Stat/MDRは「タブレットPCやスマート・ディスプレイは,足踏み状態にあるパソコン市場を活性化できるかもしれない」などとする調査結果を米国時間4月14日,発表した。

 In-Stat/MDR社によると,パソコン・メーカーやソフトウエア開発メーカーは,低迷するパソコン市場の新たな収益源として,タブレットPCやスマート・ディスプレイに大きな期待を寄せているという。

 「ペン入力を行えるタブレットPCは,売上高が当初の予測を上回るなど,大きな可能性を秘めた製品だ。しかし,企業によるIT支出の引き締めが続いており,最も大きなユーザー層となる大企業への浸透にはまだ時間がかかりそうだ」(In-Stat/MDR社上級アナリストのBrian O'Rourke氏)

 当初は垂直業界がタブレットPCの導入に積極的だった。タブレットPCは,2004年まで安定した伸びをみせるが,急速に成長するのは2005年になると予測する。

 スマート・ディスプレイは,無線を使って,家庭のどの部屋からでもデスクトップ・パソコンの機能を利用できるようにするもの。現時点では,少数のメーカーしか提供しておらず,価格の割には機能が限られていることから,売り上げはあまり伸びていない。

 O'Rourke氏は,「現在,10インチ・モデルが1000ドル以上で提供されている。しかし,Webとパソコン上のファイル閲覧,そして電子メール機能だけでは,消費者の食指は動かない」と,分析する。「しかし2004年には,第2世代のスマート・ディスプレイでビデオ・ストリーミングといった機能が可能になるため,購入を検討するユーザーが増えるだろう」(同氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2003年と2004年は,タブレットPCがノート・パソコン市場で占める割合は1~2%の範囲にとどまる。しかし2005年には,その割合が3.5%へと増加する。また2005年には,タブレットPCが超小型ノート・パソコン市場を大きく侵食する。

・タブレットPCの出荷台数をみた場合,当座の最大市場は北米で,とくに米国が大きなシェアを占める。次いで欧州,日本がけん引する。しかし,日本をはじめとする東アジア市場では,アルファベットではない文字入力の利便性がユーザーを引きつけ,徐々に成長のペースを早める。

・デスクトップ・パソコンと従属関係にあるスマート・ディスプレイは,家庭におけるパソコンの普及率が最も高い北米から普及する。またスマート・ディスプレイは,パソコンの常時接続によって,ビデオ鑑賞など,その利用価値が一層高まることが期待できる。このため米国,日本,韓国など,広帯域接続を行う世帯が増加中の国で普及が始まる見通しだ。少なくとも今後2~3年間は,米国がスマート・ディスプレイの主要市場となる。

◎関連記事
2003年のタブレットPC出荷台数はノートPCの1.2%,米Gartnerが発表
「2002年第4四半期のタブレットPC世界出荷台数は7万台を突破」,米IDCの調査
「Tablet PCの盛り上がりは期待できない」と米アナリストが分析
マイクロソフト,「持ち運び目的のノートPC市場をタブレットPCで約25%拡大させたい」
舞台は回る――タブレットPCの可能性と課題
米マイクロソフト,大手メーカー各社がスマート・ディスプレイ製品を開発中と発表 
米ビューソニック,米マイクロソフトの「Mira」搭載機を2003年Q1にリリース 
米Intersilと米MicrosoftがWindows搭載のスマート・ディスプレイのサポートで提携

[発表資料へ]