ハイテク関連調査会社,米Cahners In-Stat傘下のMicroDesign Resources社が米国時間11月12日に,米MicrosoftのTablet PC事業に関し,「Bill Gates氏が示したような市場の盛り上がりは期待できない」とする分析を明らかにした。シニア・アナリストのPeter Gloaskowsky氏がITProの取材に応じたもの。Gloaskowsky氏の分析は以下の通り。

 「Gates会長はComdex Fall 2001の基調講演のなかで,『今後,Tablet PCがノート・パソコンに取って代わる』と説明したが,Tablet PC市場がノート・パソコン市場の規模にまで拡大するとは考えられない。市場はGates会長が示した構想よりも小さな規模にとどまる。理由は,入力装置として,基本的にキーボードが手書きペン入力に勝るため。Tablet PCの使い勝手がノート・パソコンに追いつき,追い抜くことはないだろう」。

 「私は(米Apple Computerの手書き認識技術搭載OSである)Newtonを毎日使っており,寄稿コラム全文をNewtonで書いたこともある。しかし今では,ノート・パソコンが利用可能なところでは迷わずノート・パソコンを使い,Newtonを取り出すことはなくなった。Newtonはテキストの入力に時間がかかり過ぎ,ノート・パソコンの代役を果たすには至らない。Tablet PCもこの点において決定的に不利だと言える」。

 「Microsoft社は手書きの“インク・テキスト”を過大評価し過ぎている。手書き入力文字は通常のテキストよりもずっと読みにくく,記憶に必要なメモリー容量も非常に大きい。ペン入力の利点は,比較的どこでも利用可能であること,手書きをテキスト・データとして認識させたり,走り書きのまま画像として保存するといった利用法が可能なことなどがあるが,万能というわけでなくメリットは限られている」。

 「Microsoft社は,Tablet PCの有用性をことさら強調しており,パソコンのOEMベンダー各社にハードウエア開発を訴えている。しかし,Newtonや1990年代初めの「DTR-1」(Dauphin社),「Concerto」(Compaq社)などといった手書き入力対応端末などを振り返ってもみても,Tabket PCが狙う手書き認識システムの市場は年間100万台にも届かないだろう。まして,500万台を超えるなどということはまずありえない。よって,Microsoft社やOEMベンダーの開発投資は十分に回収できないことになる」。

 「Tablet PC端末の開発を発表していない(米Dell Computerなどの)OEMベンダーは,参入に慎重な態度だ。万が一,今後のPC Tablet市場が以上の予測に反してGates会長の言う通り拡大することにでもなれば,こうした「慎重組」も参入へと動き出す。先行組の成功や失敗を参考にできるメリットもある。いずれにしても,市場の状況にもよるが,2003年あたりまでは様子見の態度を取るものとみられる」。