米AMDが,ノート・パソコン向けの新しい低消費電力プロセサ製品系列「AMD Turion 64」を米国時間3月10日に発表した。「AMD Turion 64 model ML-37」「同ML-34」「同ML-32」「同ML-30」「同MT-34」「同MT-32」「同MT-30」の7モデルを用意する。Turion 64搭載ノート・パソコンは,3月後半より利用可能になると見込む。

 薄型/軽量タイプのノート・パソコン向けプロセサで,x86命令セット・アーキテクチャ(ISA)を64ビットに拡張したAMD64アーキテクチャを採用。32ビットおよび64ビットの両アプリケーションを実行できる。無線通信機能やグラフィックス機能を備えるほか,Windows XP Service Pack 2(SP2)と組み合わせてウイルスやワームによる攻撃を防ぐ技術「Enhanced Virus Protection(EVP)」と,省電力技術「AMD PowerNow!」に対応している。

 モデル名のうち,先頭のアルファベット“M”はTurion 64製品系列におけるプロセサ・クラスを意味する。2番目のアルファベット“L”と“T”は消費電力の度合いを示し,Zに近いほど消費電力が少ない(この場合は,Tの方が低消費電力モデルとなる)。2ケタの数字は処理速度を表し,値が大きいほど性能が高い。

 世界各地で直ちに利用可能とする。1000個ロット時の単価は以下の通り。

・ML-37:354ドル
・ML-34:263ドル
・ML-32:220ドル
・ML-30:184ドル
・MT-34:268ドル
・MT-32:225ドル
・MT-30:189ドル

 なお台湾Acer,富士通と独Siemensの合弁子会社Fujitsu Siemens Computers,台湾ASUS,米Averatec,台湾BenQ,台湾MSI,米Packard Bellが,対応パソコンのリリースを予定している。

 米メディアの報道(internetnews.com)によると,AMD社はTurion 64の出荷を同日開始したという。製造プロセス・ルールは90nmで,シリコン/絶縁膜構造(SOI)を採用し,ピン数は754ピン。

 また別の米メディア(CNET News.com)は,各モデルの仕様を以下のように報じた。

【ML-37】
・動作周波数:2GHz
・キャッシュ・メモリー:1Mバイト
・消費電力:35W

【ML-34/MT-34】
・動作周波数:1.8GHz
・キャッシュ・メモリー:1Mバイト
・消費電力:35W(ML-34),25W(MT-34)

【ML-32/MT-32】
・動作周波数:1.8GHz
・キャッシュ・メモリー:512Kバイト
・消費電力:35W(ML-32),25W(MT-32)

【ML-30/MT-30】
・動作周波数:1.6GHz
・キャッシュ・メモリー:1Mバイト
・消費電力:35W(ML-30),25W(MT-30)

◎関連記事
米AMD,Centrino対抗のモバイル用低消費電力プロセサ「Turion」を発表
米AMD,モバイル用プロセサ専門の研究所を東京に開設
米IntelがIDFで将来版「Centrino」をデモ,各種モバイル・コンセプトも発表
米Intel,IDF Spring 2005でプロセサのデュアル/マルチ・コア化推進を強調
米Intelが新モバイル技術「Sonoma」を発表,複数のメーカーが採用
「ノートPCへの無線ネット普及率は2006年に37%,仕事の満足度に影響」
「米Intelと米IBMが優勢」――64ビットCPUの比較調査
「2006年にデスクトップPCを主に利用する企業ユーザーは45%,ノートPCの1/3はタブレット型に」,米調査

[発表資料へ]