米Novellは,米Microsoftを独占禁止法違反でユタ州連邦地方裁判所に提訴したことを,米国時間11月12日に明らかにした。Novell社の主張は,同社がワープロ・ソフトウエア「WordPerfect」およびスプレッドシート・ソフトウエア「Quattro Pro」を所有していた期間に,Microsoft社がオフィス向けアプリケーション市場の競争を排除する行為によってNovell社に損害を与えたというもの。

 ちなみにNovell社とMicrosoft社は,「NetWare」をめぐる独占禁止法違反訴訟で和解に達したことを,11月8日に発表している。Microsoft社がNovell社に5億3600万ドルを支払い,Novell社はNetWareをはじめとするすべての製品および事業に関する訴訟を取り下げることで合意した。しかしWordPerfect関連の問題については和解に至らず,Novell社はMicrosoft社を提訴する意向を示していた。

 Novell社の言い分では,Microsoft社がWindowsに関する重要な技術情報をNovell社に開示しなかったため,Novell社はWordPerfectなどのオフィス・アプリケーションの新バージョンを開発する能力を損なわれたという。「Microsoft社は,一部の技術をWindowsに組み込み,WordPerfectなどのNovell社製ソフトウエアを関連市場から締め出そうとした。また,独占的権威を利用して,提携ハードウエア・メーカーがWordPerfectなどの製品をユーザーに提供できないよう妨害した」(Novell社)

 Novell社は1994年に米WordPerfectを買収してWordPerfect製品を取得し,同時期に米Borland International(現Borland Software)からQuattro Proを買い取った。しかし1996年に両製品をカナダのCorelに約1億7000万ドルで売却。Novell社によれば,1990年におけるWordPerfectの市場シェアは約50%だったが,Corel社に売却する頃には10%まで縮小した。

 Microsoft社はNovell社が訴訟を起こしたことについて,「Novell社はこの訴訟を通じて,自社の経営ミスと乏しい決断力をMicrosoft社のせいにしようとしている」と避難するコメントを,同日発表している。「WordPerfectが消費者に受け入れられなくなったのは,明らかに誤った意思決定と経営の失敗が原因だ」(Microsoft社)

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[発表資料(Novell社のプレス・リリース)]
[発表資料(Microsoft 社のプレス・リリース)]