米Microsoftと米AOL Time Warnerは米国時間5月29日に,ブラウザ訴訟で両社が和解に達したことを明らかにした。両社は今後,「デジタル・メディアの普及促進に向けて協力する」としている。

 両社の係争は,2002年1月にAOL Time Warner社傘下のAmerica Online(AOL)の一事業であるNetscape Communicationsが,「ブラウザ事業を妨害された」としてMicrosoft社を独占禁止法違反で提訴したことに端を発する。

 Microsoft社は今回,和解金として,7億5000万ドルをAOL Time Warner社に支払う。

 和解に伴い,両社は一連の契約を結び,消費者向けデジタル・メディアの普及とコンテンツ所有者向けビジネス・モデルの確立に関して共同で取り組む。「著作権管理技術を用いてコンテンツの海賊行為撲滅を支援し,さまざまな業界の企業に向けて開かれた,デジタル・メディア環境の開発に注力する。魅力的で使いやすい手法で,消費者が幅広いコンテンツにアクセスできる環境を目指す」(両社)

 主な契約は以下の通り。

・AOL Time Warner社は,Microsoft社のデジタル・メディア・プラットフォーム「Windows Media 9 Series」に関する長期間の非独占的ライセンスを取得する。高品質デジタル・メディアを作成,配信,再生するための将来のソフトウエアも対象とする

・Microsoft社はAOL社に,Microsoft社のブラウザ技術「Internet Explorer」の使用ライセンスをロイヤリティ・フリーで供与する。また,Windows OSのベータ版の技術情報を提供する。AOL社は,次世代Windows「Longhorn」(開発コード名)の開発テストに参加できる

・両社は,アナログ/デジタル混在環境における保護基準の開発や,知的財産権に対する消費者の認知度向上で協力する。月額利用料ベースあるいは1曲ごとの支払いベースの有料オンライン音楽サービス,認証を受けた映画へのアクセスなど,合法的な高品質コンテンツ提供の手段を模索する

・両社の既存のサポート契約を拡大し,Microsoft社はエンジニアによるサポートとWindowsソース・コードへのアクセスを,AOL社に提供する。AOL社の開発チームはワシントン州レドモンドにあるMicrosoft社の設備で共同開発に取り組むことができる

・Microsoft社は米国内外の比較的小規模なパソコン・メーカーに,AOLソフトウエアのCDを配布する

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