米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は,叙事詩的とも言えるMicrosoftの独禁法(反トラスト法)訴訟を経験したことによって個人的に謙虚になり,その結果会社も変化し,成長したと語っている。今週,Ballmer氏は,連邦議会で開かれた会合に出席するためにワシントンに滞在した。そこで,Microsoftが一連の調停を順守することに「非常に注力している」と述べた。これらの調停は,1年間前に同社が米司法省との間で合意した和解案とほぼ同じものだ。Microsoftは8月の「Windows XP Service Pack1(SP1)」の出荷以降,この調停に従っていると,Ballmer氏は強調する。

 Ballmer氏はこう語る。「一連の独禁法訴訟が始まったとき,私たちの産業に属するほとんどの企業が私たちを支援しなかったことは,疑いもない事実です」「私たちが,産業界のよきリーダーであるためには,これまでと異なる観点が必要だということを学びました」――確かにPC産業のほとんどの企業は,Microsoftをここぞとばかりに攻撃するか,あるいは同社の報復を恐れて黙り込んでいた。長期に渡る法廷闘争の間,このソフトウエア界の巨人を助けようとする企業はほとんどなかったのだ。

 しかし時代は変わった。Ballmer氏は今では,Microsoftはよりよきパートナであることに真剣になっていると語る。「5年前であっても(これはちょうど全国的な訴訟が始まる直前のことだ),私たちは自社が小さな会社であり,まだ創業したばかりなのだと考える傾向がありました」とBallmer氏。「今日,私たちは自社が重要な産業のリーダーであり,自社の決定が多くの他の企業に,自分たちと同様のインパクトを与えるということを認識しています」。

 しかしながらいくつかの事柄は同じままだ。PC産業における継続的な支配に加えて,Microsoftは研究開発に記録的な巨費を投じ続けることによって,将来の支配に通じる道筋を固めようとしている。その手段は相も変わらず,Microsoft製のソフトウエアだ。Ballmer氏は,同社の2003年の研究開発予算は2002年よりも15%多い50億ドルであると述べている。