欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は,米Microsoftに対して3月に下した競争法(独占禁止法)違反に関する制裁措置の発令を一時差し止めにした。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,Microsoft社は6月27日に,ECからこの決定を知らされたとという。なおMicrosoft社は,6月25日に是正措置執行の延期を求める申請をルクセンブルグの欧州第一審裁判所に提出したことを,同日発表した。Microsoft社は「この延期要請が理にかなったものであり,制裁措置が当社だけでなく,Windowsプラットフォーム向け製品を作成してきたソフトウエア開発企業やWebサイト開発者にも損害を与えてしまうことを回避するために必要だと確信している」と述べた。「さらに重大なのは,消費者も制裁措置によって選択肢が制限され,パソコンの使い勝手が低下し,不便を強いられることだ」(Microsoft社)

 ECは,Microsoft社が欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用し,サーバーOSやメディア・プレーヤの販売に関して欧州の独占禁止法に違反したと判断。3月24日に,4億9720万ユーロの制裁金支払いをはじめ,Windowsのインタフェース情報の開示,「Windows Media Player」非搭載版OSの提供などを命じる制裁措置を発表した。Microsoft社はこれを不服として,6月7日に控訴している。

 「ECはこの訴訟で,技術革新と経済成長をくじくような新規制を作ろうとしている。ECが下した判決のもとで当社がソフトウエアのソース・コードをリリースしたら,たとえ裁判所が当社の控訴を認めても,知的財産権は永久に失われてしまう。メディア・プレーヤ機能を搭載しない製品をいったん出荷すれば,それを回収することはできないのだ」(Microsoft社)

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