世界スーパーコンピュータ・ランキング「Top500 Supercomputer」の第24版(2004年11月版)が米国時間11月8日に,ペンシルバニア州ピッツバーグで開催中のスーパーコンピュータ関連カンファレンスSupercomputing 2004(SC2004)で公開された。米メディアSupercomputing Online.comが同日報道したもの。それによると,米IBMと米エネルギー省(DOE)が開発を進めていて現在ベータ段階にある「BlueGene/L」が70.72テラFLOPSを記録し,新たに1位を獲得した。2位は,米Silicon Graphics(SGI)と米航空宇宙局(NASA)の「Columbia」(51.87テラFLOPS)。5回連続(2年半)1位だったNECの「Earth Simulator(地球シミュレータ)」(35.86テラFLOPS)は3位に後退した。同ランキングは,TOP500 SUPERCOMPUTER SITESで閲覧できる。

 同ランキングは,ドイツのマンハイム大学,米テネシー大学,米国立エネルギー研究科学コンピューティング・センター(NERSC),ローレンスバークレー国立研究所の研究者たちが,世界中のスーパーコンピュータなどの大規模計算システムのデータを収集し,毎年2回に計算性能のトップ500を公表するもの。

 第24版は,トップ10の変動が激しいという。たとえば,IBM社とスペイン教育科学省が構築中のシステムが20.53テラFLOPSで4位に入った(関連記事)。また,ハードウエア更新作業のため一時ランキングから消えていた米Apple Computerの「Xserve」ベースの「Virginia Tech X」(愛称は「SuperMac」)システムが,12.25テラFLOPSで再登場し7位になった。

 第24版のそのほかの主な内容は以下の通り。

・トップ10の下限値が10テラFLOPSに近づいており,第24版のトップ10で10テラFLOPSを切ったシステムは1つしかなかった。トップ100の下限値は2.026テラFLOPS。6カ月前の前回のランキングでは1.922ギガFLOPSだった

・1テラFLOPS以上のシステム数は398個で,前回は242個だった。ランクインの下限値は850.6ギガFLOPS。前回のランキングでは624.3ギガFLOPS。ランキング作成者らは「6カ月後に発表する次回のランキングに入るには,1テラFLOPS以上の性能が必要」とみる。ちなみに第24版で500位のシステムは,前回310位だった

・ランクインした500システムの総演算性能が1.127ペタFLOPSとなり,初めて1ペタFLOPSを越えた。前回は813テラFLOPS

・プロセサ別にみると,米Intel製プロセサが320システム(前回は287システム,前々回は189システム)で最も多かった。以下はIBM社のPowerプロセサ(54システム),米Hewlett-Packard(HP)のPA-RISCプロセサ(48システム),米AMD製プロセサ(31システム)が続く

・クラスタ・システムが一般的になっており,296システムが採用している

・メーカー別では,IBM社がシステム数ベースで43.2%,性能ベースで49.3%を占めトップ。2位はHP社で,システム数ベースで34.6%,性能ベースで21%。そのほかのメーカーは,システム数/性能のいずれも7%を超えられなかった

・地域別の傾向としては,日本を除くアジア諸国のシステム数が増えている。ランクインしたシステム数は,日本が30システムであるのに対し,その他アジア地域は57システム。そのなかでも特に中国は,17システム(1年前は9システム)に増えた。欧州は127システム,米国は267システム(1年前は247システム)

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