米IBMとスペインの教育科学省が,POWERプロセサ搭載ブレード・サーバー「IBM eServer BladeCenter JS20」ベースの,Linuxで動作するスーパーコンピュータ・システム「MareNostrum」をそれぞれ現地時間11月5日に発表した。ベンチマーク・テストLINPACKで処理性能を計測したところ,「欧州で最も強力なシステムであることがわかった」(IBM社,科学教育省)という。

 MareNostrumは,IBM社とスペイン政府が構築中のシステムで,人間のゲノム解析,タンパク質構造の研究,気象予報,新薬開発などでの利用を想定している。現在,一時的にマドリードで組み立てているが,将来はバルセロナ工業大学(Politecnic University of Barcelona)に設置する。2005年春には,スペイン国内および海外の研究者に開放する予定。

 現時点のシステム規模はPOWERプロセサ3564個で,LINPACKベンチマーク・テストによる演算速度は,連続20.53テラFLOPS,最大31.363テラFLOPS。最終的には2282台のBladeCenter JS20をクラスタ化し,POWERプロセサ4564個を接続する。その際の演算速度は,最大で40テラFLOPS程度と見込む。

 IBM社と科学教育省によると,MareNostrumは,世界スーパーコンピュータ・ランキングで演算速度トップ5に入った初のブレード・サーバー・システムという。「価格性能比が従来システムより優れている点も特徴の1つ」(IBM社,科学教育省)

 設置面積は160平方mで,バスケットボール用コートの半分以下。重さは40t。消費電力が少なく,冷却システムを追加する必要もない。2カ月足らずで組み立てられたという。

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