米IBMは中国に研究開発センター「SMB Innovation Center」を新設することを,米国時間10月21日に発表した。独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)に,中小企業向けのオープンなソリューションを開発するためのリソースを提供する。「3000億ドル規模の中小企業向けIT市場における当社のシェア拡大を図る」(同社)としている。

 SMB Innovation Centerの場所は, 「アジアで最も優れた技術大学の中の2校」(同社)である北京大学と清華大学の近く。同センターで,ISVと中小企業は,ハードウエアやミドルウエア,モバイル・コンピューティングなど,あらゆる技術的問題に関する専門家の意見を聞くことができる。一方研究者は,地域ビジネスのニーズを把握している企業とパートナ関係を結ぶ機会が得られる。「こうした関係により,IBM社は,世界的サプライ・チェーンにわたる中小企業の運営手段を変えるほどの革新的な標準規格ベースの技術を開発することができる」(同社)

 IBM社は,「中国の中小企業にとって,サプライヤ,パートナ,顧客のつながりを強化することが大きな課題の一つ」と指摘する。世界規模のサプライ・チェーンは拡大し続け,より複雑になっているため,革新的でオープンなソリューションを用いて効率的に業務をこなすことが,中小企業にとって重要となる。IBM社によれば,中国の中小企業は,1カ月当たり平均約485社の顧客とやりとりしており,「中国は世界的サプライ・チェーンの中心地になると見なされる。中国の中小企業の効率的な業務推進を支援することは,世界中のサプライ・チェーン・ネットワークの向上につながる」(同社)。

 IBM社は同センターで,中国のefutureと共同のパイロット・プロジェクトを進め,中国小売り販売業界向けの次世代ソリューション開発に取り組む。IBM社のハードウエアおよびミドルウエアと,efuture社のSCMアプリケーションを組みあわせる。

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