米VERITAS Softwareは,同社が進める世界的なユーティリティ・コンピューティング実現に向けた取り組みをアジアと中国に拡張する。同社が中国の北京で行なわれた同社主催の顧客向けカンファレンス「VISION」において現地時間8月17日に明らかにした。

 同社は,現地法人やエンジニアリング開発センターの設立を始めとし,同地域における基盤の構築を目的として投資を行なう。また,中国において,国内のサポート,大企業向けバックアップ・ソフトウエア「VERITAS NetBackup」のローカライズ,パートナ企業との提携を進める。同社は,これらの取り組みを通じて,アジア地域における顧客が同社との取り引きを行なう際にプロセスを大幅に簡略化することを狙っている。

 VERITAS社は,2003年のシンガポールに続き,2004年4月に北京において同社が100%出資する現地法人「VERITAS Software(Beijing)(VSBC)」を設立した。顧客は,現地通貨(人民元)でVERITAS製品の購入が可能になり,国内の下請け製造業者を通じて製品を早く入手できるようになったという。VSBCは,北京の海澱区に本部を構え,東城区に支社を置く。また,上海,広州,成都の主要都市部に支社を置いている。

 また,同社は北京において開発センター「China Development Center(CDC)」の開設準備を進めている。開発者チームは,地域のハードウエアとソリューション・プロバイダとの製品統合に向けた取り組みとともに,ハードウエアの認定,「VERITAS Storage Foundation」「VERITAS Cluster Server」のローカライズと開発を行なう。同センターは,同年9月下旬に正式にオープンする予定。

 同社は,中国において現地言語による技術アシスタントを促進するための投資も行なっている。これらのサポートは,有料の「Business Critical Support」を通じてコール・センターと専門家の現場サポートによって提供される。技術サポート・エンジニアを備えるとともに,自動サポート・ツール「VERITAS DirectAssist for VERITAS Backup Exec」のローカライズも進めている。

 その他にも,現地の主要IT企業との提携を進めており,中国のLangchao社は,サーバーとストレージ・ソリューションに「VERITAS DirectAssist for VERITAS Backup Exec」をバンドルする。Neusoft社は,VERITAS製品をもとにソフトウエア・ソリューションの作成を進めており,Digital China社は,サービスにVERITAS製品の組み込みを決定している。Digital China社とNeusoft社は,再販ネットワークを通じてVERITAS製品の販売も行なっている。

 同月発表された米IDCの調査によれば,VERITAS社は中国におけるトップ5のストレージ・ソフトウエア・プロバイダの第2位にランクされている。2003年の中国におけるストレージ・ソフトウエア市場は前年から18.8%成長しており,IDC社は,同地域における経済成長,ITインフラの向上,企業からの需要増加にけん引されて,2003~2008年の間に年平均成長率24.9%で拡大を続けると予測している。

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